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そして父になるの群青のレビュー・感想・評価

そして父になる(2013年製作の映画)
4.1
何を書いたらいいのか難しいです。これは。何が正しいか正しくないかでは語れません。それこそ当事者というかそういう経験になってみないと…


しかし作品としてはとても面白かったです。子供の取り違えを通して描く家族とは何か父とは何かというものでした。

マイフェイバリットマン福山雅治の裕福な家族とリリー・フランキーパパのちょっと経済力は低そうな家族。

リリー・フランキーパパのマジックテープ財布(やめてー!笑)やら、こいつが出かける前になんのつってというやり取りやら、ストローを噛むとかわかりやすく雅治ファミリーと差を見せてくれます。
最初は気の強そうな奥さん(真木よう子さんだもんね笑)に流されがちな彼が雅治パパとお父さんってどういうもの?という話でかっこいい姿見せます。
失敗した人には本当に人の気持ちってわかんないんだな、というセリフ。重かったです。
スピルバーグ監督がこの作品を見てあの俳優(リリー・フランキー)は日本の有名な俳優なのか?と質問したくらいで自然でかつ人間臭い演技をしています。凄い存在感でした。

その他の俳優さんもとても良かったです。セリフの一言一言に重みにありました。


そして雅治パパですが未熟に描かれています。お金も地位もあるが仕事人間で家庭に重きをおかない。妻には自分の後につき従わせる。いわゆる、昔のタイプの父親でした。
この父親像も間違ってはいないだろうし自分はこちらの方に親近感がわきました。
自分も母は専業主婦で父だけが働いていたのでこういう家族像に憧れていたところもあるかもしれません。
実際、雅治パパとお父さんも同じようなタイプだということがのちにわかり、やはりそういう風にするつもりがなくても親に似通ってしまうんだなと思いました。
しかしこのご時世その形はなりにくいのは確かですよね。親のどちらも働くのが普通ですもんね。そういう時はやはりフランキーパパの方が素晴らしく見えるかもしれません。

息子ちゃんがそんな未熟な雅治パパのパパぶりをしっかり見ていた、というラスト近くのシーンで涙が禁じ得ませんでした。


なんにしても考えさせられます。一つ一つが丁寧で爽やかながら考えさせられます。
おっさんになってきたからこそ心に沁みました。父親、なれるかなー。
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