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茶の味のRenのレビュー・感想・評価

茶の味(2003年製作の映画)
3.5
なにこれ。『リトル・ミス・サンシャイン』『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』のような凸凹家族によるコメディのおすすめを聞いたときに教えていただいた作品(ありがとうございます!)で、田舎の変わったほのぼのファミリームービーかと思っていたのだけど....。

いい加減にしろ。オブビートどころではない、なんか最早ガンギマってる。でも個人的には全然嫌いじゃない。

一つひとつのシーンを完全に単体のコントとして成立させており、様々な方向からの笑いが畳みかけるように並べられている。酩酊状態もしくはラリった状態で書かれた『街の上で』。キモい漫画家とか山の歌とか、明確に笑かそうとしているシーンの爆発力たるや。

もっとカットしてもいいよと言いたくなるシーンも、無意味に思えるほど長〜く見せるのも特徴的。そこに息づく人々の日常がそのまま切り取られているような143分。

緑!古民家!無人駅!的な、田舎の雰囲気はちゃんと感じることができた。コミュニティの狭い感じ、牧歌的で洗練されていない感じが手に取るように分かる。

全ギャグが前衛的でヤバい。正直、「ここがこうでこう面白いんです」と少しでも説明した瞬間につまらなくなりそうなのであまり感想自体を書きたくないのが本音。万人にウケようとはしていない、分かる奴だけついて来いとでも言いたそうな差別のコメディ。まずは観てみて、話はそれから。

とは言ってもとっ散らかったまま終わることはなく、最後には、確かに存在した家族の繋がりとか温かみを感じられる作品にもなっていた。締めるところはしっかり締める。
松山ケンイチ、高橋一生、草彅剛らがありえないようなちょい役で出ているのもツボ。
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