唯

失楽園の唯のレビュー・感想・評価

失楽園(1997年製作の映画)
3.6
不倫を盛り上げる要素の一つが「不自由さ」である。
家庭がある故に自由に行動出来ないということが、学生や若者の初々しい恋愛とも通じて胸を高めるのだ。

それにしても、結婚しているというだけで、真に愛している人との関係は続けられず、嘘を吐きながら好きでもないヤツとの生活を続けろだなんて、よく考えればおかしい倫理だ。それこそ不道徳だ。
と思ってしまう私は、どうにも不倫体質か。いや、純愛タイプ。うんうん。

とは言え、いつ如何なる時も身勝手なのが男と女。
不倫を貫き結ばれたところで、経年がときめきを薄れさせ、結局は夫・妻の倦怠を辿って行くことを思えば、許されない恋のハッピーエンドは死しか無いのかも。
楽園へ行くには失落を伴うなんて、哀し過ぎるよね。

黒木瞳の、品と艶とが同居する声がまた色っぽい。
昭和らしさの漂う平成の傑作。
唯