劇場で観て以来の再鑑賞。邦画のオールタイムベストに入る位大好き。
「少年と男」が主題の映画に外れ無し。
飽くまで、主人公が事件を調べるのが「少年の為」であるのが素晴らしい。
そして、その少年の事件への関わり方が物語のテーマを象徴している構成の綺麗さよ。
推理物なので同じシーンを何度も繰り返すのだが、その度にカメラの「視点」が変わるので飽きる事がなく、その「視点」が演出そのものになっているのが素晴らしい。
主人公の視線、目線で「怒り」を表し、その視線で見えない娘を父が感じ取る。ラストの尋問シーンは「これこそ映画だ！」と勉強になるばかりだ。
タイトルへの入り方も、エンドロールへの入り方も、そして場面転換で見せる省略も、挙げればキリが無い最高の編集だと思う。
「夏」を感じさせてくれるカメラのルックも良いし、様々な要素が自分の好みのど真ん中を貫く作品だ。
「純粋な家族愛」ではなく事件の顛末は「歪な愛」の成れの果てなので其処を気持ち悪いと思ってしまうと評価が分かれそう。
「愛故に人を殺した」という事を自然と受け入れる主人公の思考が「容疑者Xの献身」の存在を感じさせる完璧な続編でもある。
ドラマ版も幼い頃楽しく観ていたが、今は出来る事なら西谷監督による映画シリーズとして本作の続きを観たい。
