まーしー

後宮の秘密のまーしーのレビュー・感想・評価

後宮の秘密(2012年製作の映画)
3.0
久しぶりの韓国映画。
亡くなった王の側室を主人公に、新しく王に即位した亡兄の弟と、院政を敷くその母の権力闘争を描いた宮廷フィクション。

宮廷内の数々の権謀術数が怖かった。こんなにも人は権力に目がくらむものなのか。
しかも、王座を狙う争いは男性だけのものではない。
将来の王となる男児を産み落とせるか否かの女性の争いも存在する。さらに、産み落とした男児を王に即位させたいという思惑と、それを阻もうとする思惑の衝突。
自身の地位向上や思惑の遂行を図るため、己の体をも武器にする女性の姿は何とも表現しがたい。強くもあり、痛々しくもある。

そして、権力者の怒りを買った者に待ち受ける悲しき末路。野心を見抜かれたり誤解を招いたりと、その要因はさまざま。
しかし、宦官であれ侍女であれ、一歩間違えれば命を失う世界であることが伺える。

また、恋心や親心に起因する、宮廷内のパワーバランスの描かれ方は秀逸。
「王=権力者」という構図が崩れ、王を取り巻く者たちの欲望と謀術が渦巻く世界。
剣や銃を使った「陽」の戦い方もあれば、毒や淫欲を使った「陰」の闘い方もある。
本作は、その「陰」の闘いに焦点の当たった作品だったと言えよう。

権力に目がくらむ人たちの陰湿な駆け引きを楽しみたい方はぜひ。