唯

バニラ・フォグの唯のレビュー・感想・評価

バニラ・フォグ(1999年製作の映画)
2.4
交友関係の広いアマンダ(くりくり垂れ目)は、亡くなったママのレシピを再現するという好感度の高さでおじさんにモテまくり。
トムは、モテるだろうが女を敵呼ばわりするなど下に見る節があり、理論で解決したがる点も男らしい(良い意味ではなく)。

市場で買ったカニが脚を噛むハプニングで出逢う二人。
アマンダはトムに一目惚れし、トムはアマンダの店に対して「世界最高のレストランだ」と一目惚れする。

トムが荒らぶる彼女にこっぴどく振られるシーンは、フルハウスみたいなシチュエーションコメディっぷり。

イケメンで仕事は出来るのに、女を前にするとタジタジになり自分で墓穴を掘ったりという不器用さが上手く作用しているパターンで、絶対尻に敷かれるだろうなあ。
素直で可愛いプチ拗らせ男子。

アマンダは、トムの胃袋を掴んだ感が強い(胃袋を掴む、は馬鹿に出来ない)が、妄想のダンスシーンでは、まだ会ったばかりなのに心はゼロ距離というところに運命を感じる!!
「何?」「君に見惚れてた」だって!
彼が持って来たバニラランの花を用いてスイーツを振る舞うシーンでは、粉が舞い上がる魔法が起こる。
(顔に付いた粉が)美味しいとキスするのはエロいわ。
厨房のキス②では、フルーツを食べさせて指を舐め合ってからの空中浮遊。
ビビりのトムは、天井に貼り付けにされて呪われたとわめくが、それを楽しめるアマンダが素敵じゃない?

「あのキス、バニラの匂いの霧、美人で利発でおかしくてそれに料理で僕を狂わせる。もうメロメロだ」「まだデート2回目なのにデート一生分だ」

アマンダの作る料理は媚薬と化し、幻覚エクレアなどエクスタシーを引き起こすメニューの数々。
それは、幸せをもたらすとも言えるが、危険と隣り合わせ。
恋愛という魔法もまた、危うさと快楽・恍惚が共存している。
料理を食べると、身体が浮き上がり霧に包まれるというのもまた、恋愛の比喩なんだよね。

にしても、おかしなお菓子の映画。
唯