群青

海がきこえるの群青のレビュー・感想・評価

海がきこえる(1993年製作の映画)
3.3
宮崎駿も高畑勲も関与していないジブリ作品。
おもひでぽろぽろは小学生、耳をすませばは中学生。そして今作は高校生の男女の機微を描く。そんな認識。まあ耳をすませばはあれか、ファンタジーか笑

高校生は中学生のあの時とは違う、というちょっと大人の世界を知った気でいる期間だと思う。でもやっぱり子どもで、周りとの関係性がそのまま世界の広さになる。自分で考えて自分で行動する、思春期から少し抜け自制も出来る。自分で判断できるんだ、と思ってしまう時期だ。

これが地上波でほとんど流れないのは、ジブリの概ねのターゲットである、子供達が観ても上述の感覚が分からず、イライラしちゃうからだろう。
だってヒロインの里伽子は、はたからみたらわがままで、上から目線で、一匹狼で。正直言って共感出来ない。しかし彼女の境遇、親が離婚し、住み慣れた東京からど田舎に引越してきた、右も左も分からない。だから勉強しか出来ないのは当たり前だと思うし、それに気付かず、男に媚を売っていると思われ、都会っ子だからお高くとまっちゃって!と周囲の女子が思うのも当然である。

話は外れるが文化祭の時、女子から責められる時にその男の話が出てくるシーンで、女性特有の感覚に戦慄した。そこ、今関係ある!?あと、里伽子が引っ越してきて、主人公のうちで母があれこれ話すところ。ここも田舎特有のゴシップ好きというか、噂の広まり具合にイライラしたり。


話を戻すと、これは大人が各々の過去に思いを馳せながら見ると、素晴らしく味わい深い作品になる。と思った。特に高知県民は。あれだな、高知っていうのが絶妙だな。東京から高知って!

自分もいい大人になってきた、今観て良かったと思った。
ただ、拓が里伽子を好きになるのはよく分からなかった。確かに曲がったことは大嫌い!という拓に里伽子が自然と頼っていたのはよくわかる。ゴミ捨て場の引っ叩きなんて、大好き!と言っているようなものだ笑

でも拓からの思いは分からず…
まだおれは大人になり切れていないのか…
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