岩嵜修平

海がきこえるの岩嵜修平のレビュー・感想・評価

海がきこえる(1993年製作の映画)
3.5
ジブリ好きながら未見だった本作。改めて宮崎駿や高畑勲、近藤喜文ら他のジブリ監督たちの演出と脚本の上手さを実感。説明的で、主人公たちのキャラ描写も定まっていない。観ていて恥ずかしくなる展開の連続なのは1993年らしさだろうか。かつての新海作品に通じる羞恥心。時代の遺物。

30年前の吉祥寺や成城学園前や浜松町や高知やハワイの景色を新鮮な気持ちで見られるのは、アニメならでは。手書きを強く感じる質感も、宮﨑駿や高畑勲とは異なる。(元がテレビアニメというのも影響?)ただ、その後、ほとんど監督作が無かったということは、そういうことだろう。実写でも十分な表現。

いつものル・シネマの客層とも異なり、若い女性が多かったのは、インバウンド需要か原作の効果かジブリ後追い層か。本作が、ほぼ満席続きなら、他のジブリ作品や『茄子 アンダルシアの夏』などの再上映でも十分にヒットし得るかもしれない。もっと現代性がある作品も、過去のジブリに沢山あるはず。
岩嵜修平

岩嵜修平