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IT/イットの消費者のレビュー・感想・評価

IT/イット(1990年製作の映画)
3.7
・ジャンル
ジュヴナイルホラー

・あらすじ
舞台は1990年、メーン州の田舎町デリー
近頃、児童の殺害や失踪が多発するこの街で図書館員のマイクは不穏な予感を抱いていた
事態が30年前の夏、“ラッキー7”を自称する彼とその仲間達が遭遇した人ならざる道化師の怪物ペニーワイズが引き起こした物と酷似していた為である
彼らがその名を呼ぶ事もはばかる程に恐れる“イット(それ)”の再来を確信したマイクは当時の約束通り他の6人を呼び寄せる
やり残した“復讐”を果たす為に…
そうして集まった“隊長”ビルを主とした面々
あの夏以来、散り散りとなった幼馴染達は過去のトラウマを抱えながらも再び恐怖と向き合うのだが…

・感想
スティーヴン・キングの同名原作小説を映画化した2部構成のホラードラマ作品
実在のシリアルキラーであるジョン・ウェイン・ゲイシー扮するポゴを元にしたとされる恐怖のピエロ、ペニーワイズでお馴染みの名作

元が2部の長編ドラマという事もあってかなり長尺の一作
思った以上に「スタンド・バイ・ミー」感の強い内容で恐怖性は想像よりも遥かに弱かった
ただゲイシーの存在が今より遥かに身近だった時代に観た人達にとっては怖かったんだろうなぁという事は想像に難くない
彼が遺体を床下に隠したり川に遺棄していた事ともリンクする設定だし

単純にホラーとして観れば弱いものの子供達の恐怖や弱みに漬け込み化けておびき寄せるペニーワイズの怪物としての魅力は十分で特に口を開き牙を剥いた時のビジュアルはなかなかに強烈
またペニーワイズを通してラッキー7の面々がトラウマや恐怖を克服していくという話の流れはジュヴナイル物としては王道ながら良い
ラストのダークファンタジー感漂う下水道のビジュアルは雰囲気があって好きだしビルの妻、オードラや濡れ衣を着せられたヘンリーなど現在と過去を上手く繋いでいた点も悪くない

ただペニーワイズの実体はちょっと余計だったかな…
普通に最後までピエロで通してくれた方が良かったと思う

また引っ掛かったのが主要人物のキャラ造形
コメディアンとなったリッチーは遊び人でミソジニーを時折覗かせるし紅一点のベヴァリーはサークルクラッシャーみたいな思わせぶりな態度を男性陣(主にビルとベンだけど)に対して取るし…
何より不憫だったのはそれぞれがそれなりに成功を遂げているのに対してエディだけ童貞って…w
幼少期からの絆を描く為の要素とはいえモヤモヤが残る

リメイク版やミームの存在もあって今でも語り継がれる作品なだけにちょっと期待し過ぎたかもなぁ、というのが正直なところ
逆にリメイク版がどうアップデートされているのかが気になる
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