ベルサイユ製麺

SPINNING KITE スピニング カイトのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

3.0
よく知らない邦画は反射的になんでもパッと手にとってしまう習慣があり、今作も例外では無く、ジャケの表面は一瞬だけ斜めに視線を動かして終わり、直ぐ裏返して監督名を見ます。うむ、知らない。全体にさっと目を通し“若者がパンクバンドを〜”的な記述に「ほう」と思い、スタイリングが伊賀大介である事が分かった時点で借りる事を決めました。その間5秒も無いのだ。グラインドコア!

映画自体は至って平均的な、悩める若者達のドラマです。地元でパンクバンドをやってて、べつにそれで食べていこうって訳でも無く、進学も就職も特別したい訳じゃ無い。このままおれたちずっとこうなのかな…?みたいのです。
バンドのメンバー達はそれぞれ生活環境が違うので、抱えてる問題もそれぞれ違う。
荒唐無稽な出来事とかは起こらなくて、彼らの問題も等身大(←恥ずかしい…)で、リアリティを感じます。地元の閉鎖的な空気感も、それなりには伝わってきます。全体的なトーンは青年漫画風、具体的には古泉智浩さん(好きともそうじゃないとも言いません…)ぽいです。
映画の見た目が、やたらテレビドラマっぽい。“インディぽい”でも“チープ”でも無くて、夜中やってるドラマみたいで、そのせいで作品に集中しづらかったです。(わたくしはテレビを真面目に見る事が出来ません。fuck)
物語も、テーマも、その結末も特出した物では無いと思いますが、致命的な欠点もありませんね。なんとなく見れちゃう、ともなんとなくでしか見られないとも…。

作品の本質とは関係なく驚いた点
⚫︎舞台が木更津!え、おい!木更津で地元でたむろする冴えない若者達がバンドしたりって、おい!ダメだ・ニャー! 未公開シーンで“やっさいもっさい”が写ってて、ダメに決まってるだろ!って思いました・ニャー!!
⚫︎主演が中村倫也!2011年公開の作品なので、二十代前半のヤング倫也が拝めます!凛々しいぜ!全然垂れ目じゃない。
⚫︎バンドの演奏する曲がラフィンノーズのカバーである!!!
(ここから後は読まなくても大丈夫ですよ!)
ラフィン、それなりに思い入れ有りますよ。もちろん世代では有りませんが、インディーズ御三家では有頂天、ウィラードの次に好きでした!AAレコードのディスクは結構買いましたしね。演奏曲は“paradise”と“Get the glory”で、当然メジャー期の盆踊りみたいなリズムのでは無くて荒々しくて最高です!多分ちゃんと演奏してるのだと思うのですが、元々テクニカルなサウンドでは無いのでそれなりに様になってます。中村倫也さんは地声がちょっと綺麗目なのが気になりますが許容範囲です。ファッションは1996年、木更津のビンボーな若者としてはそれなりのリアリティはあるのかなー?ってレベル。安っぽいタータンのパンツや三連ピラミのベルトにはワクワクしてしまいます。自分はやっぱ初期パン〜ハードコアが好きなんだなぁ。パンクロックモチーフのアイドルって大概メロコアなんですよね…。頑張れ爆裂女子!!しばいたれ零ちゃん!

映画そのものはとにかく普通です。中村倫也さんのファンは是非…かなぁ?いや、元パンクスがこんな煮え切らない態度はダメっすね。

…よし。見る必要無し!!!!🖕☺︎🖕