海

ウォールフラワーの海のレビュー・感想・評価

ウォールフラワー(2012年製作の映画)
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先々週に熱が出てからずっと在宅で仕事をもらっていて家にこもりきってる。ぼーっと会社行ってたときには見えなかったものがおかげでよく見えてきてしまって困る。今日も好きなアイドルの歌を聴いて泣いてたし、猫が近くで眠るの見て泣いてた。まずいなーって思っても、ほかに覚えることがいつもより減ったせいで、色んなことを思い出してしまう。あの歌聴いたときあなたも一緒だったな、ホテル取れてなくて朝の4時にようやく空いてたホテルに入った、窓ってあるんだねーって開けてみたら朝日がきれいで結局全然眠れなかったな、あのとき見た朝日はなんとなく海みたいだったけど、本当は海じゃなくてあなたに似ていた。そばにいるのがずっとずっとわたしでありたかったから海みたいだって思った。自分のままで誰かを愛するって思ってるよりも十倍は難しい。いつのまにか寄りかかりすぎていたり、勝手に手を引いて走り出してしまいそうだった。それでもわたしたちは愛する相手にこそありのままであってほしいと願う。理想のとおりに完璧に幸福に愛しあえたらと願う。測ってたはずの距離なんて、目を離した一瞬でわからなくなるし、言葉にすればするほどあなたに伝えたかったはずのわたしはぽろぽろこぼれてもう見えなくなっていく。言わなきゃいけないのに口に出すのが怖かったことを、ぜんぶぜんぶ塞ぐみたいにいつもあなたは突然ひかりだした、あなたってまるで太陽みたいだった。そのたびにわたしは中原中也のこれを思い出した、「ただはららかにはららかに涙を含み、あたたかく息づいていてください。もしも涙がながれてきたら、いきなり私の上にうつ伏して、それで私を殺してしまってもいい。」あなたに出会えてよかったとくりかえしくりかえし思った。同じ数だけ胸はつぶれそうに痛んだ。骨がくだけるまで抱きしめてとか泣いているからなぐさめてとか笑いたいからつれだしてとか何の意味もないキスをしてとか本当にしてほしいときは言えない。これだけ思い出すことがあるんだもん涙がとまらないことくらいおかしくも何ともないんだなって今夜は心からそう思えた。誰かがしぬほど泣いた日に、思い出してもらえるようなひとになりたい、月を見上げてみるのと同じ感覚で、わたしは何時の時のあなたにも寄りそっていたいです。
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