TakashiM

永遠の0のTakashiMのレビュー・感想・評価

永遠の0(2013年製作の映画)
4.5
こんな世界情勢だからか、アマプラで戦争関連の映画が目に入る。
その中でも、原作が好きで前から気になっていた本作は、本当に素晴らしい出来だったし、戦争の残酷さを再確認することができた。


わずかにネタバレ含みます。










守るべき人がいるため、自分は死んではならない。
宮部久蔵は、信念の男だった。
だがしかしその信念は、未来ある若者たちの無残な死を目の当たりに見続けることで次第に揺らいでいく。

トロッコ問題にも似ているが、もっと複雑で究極だ。

仮に、部下の死を黙殺し、自分の命と家族を守ることを最優先したとする。
その場合、その後の人生を真っ当に生きられるだろうか。

宮部久蔵は、その2択に長い間悩み、苦しんだ。
その苦悩は筆舌に尽くし難いだろう・・

そして出した答えが、最後の選択だった。
家族を不幸にせず、若者を一人でも救い、更には、生にしがみつくことで狂気に陥りそうな自分自身を救う方法・・

岡田准一の鬼気迫る演技に心をえぐられ、最後の選択の意味が頭をぐるぐる回っていた。

そもそもそんな選択は、人生において決してあってはならないもの。
人が人生の選択において死を選ぶなんて、本能的にできない。種の保存の法則に反する。


今現在、まさにウクライナでは、自ら銃を取って戦地に赴く人もいるという。
どのような意志であれ、本作の宮部久蔵のような選択に迫られている人もいるかもしれない。


特攻について。

特攻志願者は洗脳されている、というシーンがあった。
自分の死で戦局が変わるはずもないのだが、その事実を認識することは不可能。
ましてや、戦地の最前線にいる下等兵が得られる情報なんて。

限られた情報で選択を迫るという状況は、確かに洗脳かもしれない。

ただ、国や子孫を守るため、という純粋な気持ちがあったこともまた事実。
自死が、大切な人を守ることに繋がると信じ、特攻に向かう。
この姿を洗脳の一言で片付けることは、絶対に出来ない。


現代の戦争は情報戦だから、特攻なんてことにはならないだろうが、ウクライナ側が国を守ることに固執し、無意味な犠牲を生む選択肢を取ってしまわないことを願うばかりだ・・
TakashiM

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