これぞまさに香港ロマンノワール！
浮気相手と香港に消えた妻・宮下順子を追う夫（井上博一さんはこういう役が多い）、彼を密かに慕う義妹・小川節子（珍しい洋装！美しい！！）が渡った香港で待つ「おんな」の迷宮。
1973年の、噎せる様な空気の猥雑な香港の闇に、セックスと銃弾が炸裂する夢幻の世界。ところでこれ、片桐夕子は慰安旅行だったの？
本当に宮下順子の妖気は何なのか。「おんな」そのものじゃないか。
ぬめるような色気と死の香り。ここだけ密度が違う。
小川節子の抜ける様な白い肌が銃身で愛撫される様の美しさと綺麗に対をなす。
この作品で反省したとは、何とも小沼勝の映画とフィルムへの探究心の凄さよ。（なんでも、現像したのを見たら、あの「暑さ」が全然映って無かったから、という。以降の小沼映画のドライブする熱量は、ここで培われたのかもしれない）
