Maki

ヒットマンズ・レクイエムのMakiのレビュー・感想・評価

ヒットマンズ・レクイエム(2008年製作の映画)
3.5
原題:IN BRUGES
公開:2008年
視聴:U-NEXT(字幕)


⚡ネタバレあります⚡


『イニシェリン島の精霊』が面白かったので、15年前に公開された同じ監督・主演コンビ映画も続けて観た。

舞台はベルギーの古都ブルージュ、霧が立ち込めるおとぎ話のような街に殺し屋コンビがやってくる、表向きは観光で。

新米の殺し屋レイ(演:コリン・ファレル)、まだやんちゃぽさも垣間見えて若い。でも深い後悔と自責に苛まれている。

ベテランの殺し屋ケン(演:ブレンダン・グリーソン)は律儀で文化や歴史に精通している。この凸凹コンビっぷりがおかしくて、その関係性は『イニシェリン島の精霊』にも通ずるところ。

怪しげな女クロエ(演:クレマンス・ポエジー)、見覚えあるわ… ああ『TENET』の序盤に出てくる女性学者だ。

小男俳優ジミー。演じるのはピーター・ディンクレイジに少し似てるか、ジョーダン・プレンティスという別人。

マフィアのボス=ハリーは、独自ルール=血の掟を何が何でも守り抜くのでお馴染みレイフ・ファインズ。

殺し屋にたじろがないホテルの女主人ナタリー(演:エリザベス・ベリントン)も印象的。

終盤、鐘楼でのケンの決断と実行に鳥肌がたつ。残り少ない命を悟ったとはいえ、そこまでする!

ブルージュの聖誕祭広場で、ボスがレイを追い詰める。貫通しづらいダムダム弾を数発胴体に撃ち込むがなぜか一発貫通(逸れてか?)して小男ジミーに当たってしまうのが皮肉。ここでやっぱりボスが独自ルールを守り抜くのが伏線回収。

仮装の集いのなか運ばれてゆく瀕死のレイは、ヒエロニムス・ボスの絵画「最後の審判」に迷い込んだようだった。
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