海

ジンジャーの朝 〜さよなら、わたしが愛した世界の海のレビュー・感想・評価

-
夢はかなわない。恋はいつか終わる。戦争は眠ってるうちに起こる。昨日と同じような今日は突然二度と来なくなる。あなたとわたしは違う。あなたは、自分を傷つけるというすごく贅沢で身勝手な一瞬の快感に溺れながら、世界中のすべてを睨みつけてるつもりでいた。わたしは、物分かりのいいふりをして、大人のように振る舞いながら、いつかあなたをすくうつもりだった。戦争なんか、伝えられない言葉に比べたら、どうにだって変えられるもののくせに、世界の真ん中で偉そうな顔して、全部を二つに引き裂いてしまう。わたしたちはさっきまで、何にも知らないまま、死んだ人の上で、手をつないで、スキップをしていた、光が過去で、闇が未来みたい、どんどん、どんどん遠くなる。夢は叶う、幸福に直結しないだけ。恋は手に入る、本当の恋だけが報われないまま永遠になるだけ。戦争は生まれないことができた、でも、今更なくすことができないだけ。あなたとわたしは同じだった。でも。生きていてほしい。親愛なるあなたに。
海