和桜

セブン・サイコパスの和桜のレビュー・感想・評価

セブン・サイコパス(2012年製作の映画)
4.2
ある種の自己犠牲や死に様を描き続けてきたマーティン・マクドナー監督。今作は北野武作品が大好きな彼の趣向が最も込められたノンストップなサイコパス映画。毎度のことながら劇作家だけあって脚本が天才的でタランティーノっぽくもある。節々の台詞も最高すぎる。
「いかにもハリウッドな猟奇映画はうんざりだ。もう銃撃戦は見たくない。俺が描きたいのは結局、愛と平和だ!」といいながらバイオレンス映画を撮り続けてる辺りは何人かの作家や監督に通じる。

一番好きな『ヒットマンズ・レクイエム』では、キリスト教と殺し屋をテーマに自殺というタブーを究極の自己犠牲として救いを描いた。今作もまた他者を救うための行為は自殺と呼べるのかという疑問を残しながら、犠牲の中にこそ光を見出す姿勢が描かれる。
両方に共通してるのは「自己犠牲により誰かを救おうとする人物」の存在で、これは次の『スリー・ビルボード』にも受け継がれることで様々な解釈を生んだ。

キリスト教と自殺を主題にここまで攻めながら描き続ける監督は中々いないし、自分が求めているテーマに近すぎて何度見返したか分からない。明確なテーマを持っている監督や作者の作品は、時系列順に見て欲しいと思ってしまうけどこの人の作品も同じことが言える。もちろんこれだけ見ても人によっては面白いはず。
コリン・ファレル、サム・ロックウェル
、ウディ・ハレルソンにクリストファー・ウォーケンと役者陣も最高すぎて早く新作が見たい。
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