ルサチマ

ポルトガル、ここに誕生す ギマランイス歴史地区のルサチマのレビュー・感想・評価

4.2
久しぶりに見た。オリヴェイラとカウリスマキがブチのめしにかかってる。

カウリスマキの『バーテンダー』。
花がモチーフとして使われてるポルトガルの革命とかそんなのは正直どうでも良くて、この映画で大事なのは無視をされる男の存在だ。
この男のある1日の日常を描くため、この映画ではある仕草が2回起こる。(客の扉の出入り、グラス、虫の雑音。etc)
そして新たに出来たバーテンダーの店と異なる日当たりの良い店の存在によって、この2回繰り返されていた生活から非日常的時間へと移動する。
新店舗のスープを飲んで回想による時の時間の飛ばし方は、回想の用い方としてかなり巧妙な窓を使う。
その非日常への記憶の飛ばし方によって装いを新たに美容院へ行くわけだが、ここでカメラは最初に男の姿を写すことなくギターを弾く男のカットから見せる。
この映画において男はそこに存在しながらもあたかもはじめはいないかのように(=無視された存在)として描かれている。
当然かつて見た幻想の女はバスにも乗っておらず、バーテンダーを見出す存在はここにいない。
カウリスマキは床を撮ることで男の存在を消していると見えなくもない。
ルサチマ

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