リッキー

大統領の料理人のリッキーのレビュー・感想・評価

大統領の料理人(2012年製作の映画)
3.1
870本目。
1988年,ミッテラン大統領に仕えた料理人の物語で実話です。
日本のフレンチには見慣れないフランスの郷土料理がほとんどで,大統領に「祖母の味を思い出した」と言われるような料理なので優しい味が想像できます。

作品を鑑賞し始め,大統領の料理人として働いた2年間と南極調査隊で働いているころを交互に展開しているため,場面展開でわかりにくいところがありました。
それから大統領の料理人として仕えた時間経過のエピソードが極端に少なく,台詞の内容から2年間在籍していたことがはじめてわかり少し不親切かも。

実話のため劇的な展開はありませんが,フランス料理はすべて郷土料理から成り立っていることを学びました。
ラストシーンは当時,男ばかりが支配する料理界の環境の中,一生懸命に仕事に打ち込んでいた彼女が大統領の元を去る理由が,南極を去る際に明らかになります。

どんな社会・組織でも改革派と抵抗勢力の対抗があります。彼女は経費削減や美味しいものを追求するあまりに,古くからの慣習を無視し、食材の仕入れ先の変更をして公私混同とされ,汚職の疑惑をかけられます。

ふらりと厨房に入ってきた大統領が彼女に「いじめられているね…私もだ」と語りますが,この言葉が意味深です。このころの大統領は体調管理のため食事制限していることから,満足な料理を食べることができません。

健康のために医食同源を中心とした食事を摂られて、美味しいものを我慢している方も多いかと思われます。しかし節制してストレスをためるようであれば,決して健康体とは言えません。身体が欲するときには美味しいものを食べ、良い加減で食事をするのが望ましいですが難しいですね。
リッキー

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