茶一郎

マッキー/Makkhiの茶一郎のレビュー・感想・評価

マッキー/Makkhi(2012年製作の映画)
4.2
 世界初の「ハエ」アクションムービー!『マッキー』!
 【あらすじ】 2年間も片思いだった主人公青年のジャニの恋心がようやく結ばれたと思ったその矢先、ジャニは彼の恋人をどうしても手にしたいとする青年実業家スディープに殺されてしまいます。しかし、奇跡の力はジャニをハエの身体にまとわせて蘇らせました。ハエになったジャニの、彼の恋人をスディープの魔の手から守る闘いが始まります。

 いやはや、この映画が持っているパワーはとてつもない。恋が実った!→死んだ!→蘇った!→復讐するぞ!と、ハエのごとく早いスピードでファンタジーなストーリーを語っていきます。
 何にせよ、一応、物語内の科学的ルールにのっとり自身がハエ化してしまう『ザ・フライ』や、アリ大のサイズになれるスーツを駆使して敵と戦う『アントマン』とは訳が異なり、今作『マッキー』は「愛の力」で「ハエそのもの」に転生するというお話です。映画のもつこのファンタジーの荒唐無稽さと、スピード感をいかに楽しむ事ができるかが今作を楽しめるか・どうかの分かれ道になります。

 兎にも角にも、『マッキー』恐るべし。『バグズライフ』的なデフォルメされたハエではなく、現実世界にいる、我々がどうしたって「汚い」と思ってしまうようなリアルなハエが超然にミニマムなアクションを繰り広げ、最終的には「ハエって可愛いな」と思わされてしまうのです。
 また全編に冴えわたるマンガ的なケレン味の演出はもちろん、中盤、主人公ジャニがハエになってからほとんどセリフ無しの非言語的アクションで相当な時間を見せ切ってしまうのですから、監督のS・S・ラージャマウリの演出も素晴らしいものです。

  「♪僕はハエ 甘く見るな お前を殺しにやってきた」がテーマソング。そんな主人公がまさかのハエ(蝿)の今作『マッキー』は、まさしく甘く見ていたらガツンとヤられる一本でした。
茶一郎

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