世界に誇るアニメスタジオ・ジブリと宮崎駿、鈴木敏夫に焦点を当てたドキュメンタリー。
撮影時期は、『かぐや姫の物語』の公開と、『風立ちぬ』制作に被っており、宮崎駿監督の引退会見にも立ち会っている。
膨大な時間と手間をかけて、ひとつの作品が出来上がる過程には、心が動かされる。
宮崎駿の製作論、鈴木敏夫の仕事論、スタジオジブリのアニメーターたちのインタビューなど、なかなか知ることのできない情報が満載。ジブリアニメを見たことがあれば、楽しめると思う。
ちなみに、表紙には高畑勲もいるが、彼のインタビューやかぐや姫の製作現場はほぼ映らない(高畑監督に怒られ、撮影を断念したらしい)。強すぎるだろ…。
宮崎監督の制作部屋も出てくるが、全体的にジブリ風味で面白い。厳しくて恐いが、女性には優しいおじいちゃんでかわいい。
鈴木プロデューサーは昔ながらの編集者といった感じで、ストイックな仕事人感がすごい。眼光鋭すぎる。
お年を召しているのに、クリエイターに代わって夜は飲み歩いているところも流石。
この2人のコンビ感がすばらしかった。
ほんわりした庵野監督が、突然声優にあてがわれて戸惑うくだりは気の毒で笑ってしまった。
『風立ちぬ』のセリフが、「来て」から「生きて」になったのには、かなりグッときた。試写で監督が泣いていたのにも心掴まれた。
引退会見の直前、窓の外を見てアニメの想像を話し始める宮崎監督は、どこまでいってもクリエイターなんだなと感じる。
淡々としたつくりなので、飽きてしまうところもあるが、過度な編集が加えられていない良さもある。スタジオジブリのゆるりとした空気がそのまま感じられる気がする。
ジブリアニメをあらためて見返したくなった。