SNSで話題になった、ショートホラーの秀作。10分ほどだが、10日くらい落ち込めるw
激しくぶつかり合う波の音で、女性は目を覚ます。と同時に、自身の身体が絶妙にカーブしたコンクリートの上にあり、少しでも足を滑らせると奈落に沈む状況にあることが判明する。
……もう最悪だ。なにこれ？
スプラッター系ホラーは、あの痛みを体感したことがないからこそファンタジーとして楽しめる。けれど、これは真逆だ。主人公への没入感が異常だ。
主人公は、他にも滑り落ちた人間の痕跡を見つけ、なんとか体勢を整えようとする。しかし、擦りむいた両手は滑り、さらには雨が降ってくる……。十字架を握りしめた彼女の祈りは届くのか？
(以下ちょっとネタバレあり)
考察を読むと、中絶のメタファーという意見が多くてなるほどと思った。波の音は胎音、カーブした壁は子宮を意味しているとか。恐。
あるいは、死もしくは生そのものなのかもしれない。必死に抗うことで多少の時間は稼げても、生死という大きな定めの前で人間は無力だ。
