ふき

ランボー3/怒りのアフガンのふきのレビュー・感想・評価

2.5
ランボーシリーズの三作目。
本作の原題は『RAMBO III』だが、一作目が『FIRST BLOOD』、二作目が『RAMBO:FIRST BLOOD PART II』ならば、『RAMBO II:FIRST BLOOD PART III』が妥当ではなかろうか(いやない)。

ベトナム戦争を扱っていた前作前々作とは変わり、一九八〇年台のアフガン紛争を舞台としている。なのでランボー個人の事情はさらに薄まり、基本は囚われた大佐を助けきたランボーが、ムジャーヒディーンの助っ人としてロシアの特殊部隊を殺しまくる内容だ。
ランボー自身の物語としては、彼の引退を暗示する演出が多い。冒頭の格闘シーンでは途中までランボーがボコボコにされて衰えを感じるし、一時的に行動を共にした少年兵に前作で手に入れたお守りを渡すのは次世代への継承に見えるし、ほぼ一人でこなしていたアクションを現地人に任せるのはランボー不要論を匂わしている(これは現在進行形の戦争という理由もあるだろうが)。前作前々作と続いたラストショットのストップモーションが、本作ではやめているのもその一つだろう。
ランボーが去っていくお話を語ろうと言う点自体は、悪くないと思う。

ただその分、前作で全面展開されたアクション映画としての面白さは、ずいぶん也を潜めてしまった。
なにしろお話が弱い。「単独で隣国に乗り込み現地人の協力で、一度捕虜のところまで行くも救助できず、次のアタックで全員を救出して強奪した敵のヘリで脱出」というプロットが前作と似すぎている割りに、「実は現地人が裏切り者」「本部が手を引く」「ランボーが捕虜になる」といった捻りはない。本作ならではのアフガンゲリラ要素はというと、ゲリラも少年兵もムジャーヒディーン側のロシア人も、ろくにお話に活かされない。大切な人を失って感情を爆発させる展開もないから、どうも全体的に盛り上がらない。
お話が弱いからアクションがどうでもよくなる。一作目ではランボーが石を投げるだけでハッとしたのに、本作ではいくら派手に爆発が起こっても、その向こうにドラマが見えないからハラハラしない。唯一、トラウトマン大佐との友情がベースとなる共闘シークエンスは燃えるのだが、全体的に暗く分かりにくいのが勿体無い。そもそも本作の戦闘は、アフガンゆえに見た目のバリエーションが少ない上に、ゲリラ戦は闇に紛れて行われるので、絵的に面白くない。
また本作ではアフガンゲリラの大軍が救援に現れる展開があって、クライマックスに行くにつれてランボーのワンマンアーミーとしての存在感が希薄になっていく。笑っちゃうくらいの強さや派手さがなく、マッチョポルノとしてもうまく機能していないように思えた。

しかしランボーが手を貸したムジャーヒディーンが、のちにターリバーンやアル=カーイダを産むと考えると、暗澹たる気持ちになる。もちろん「ソ連がアフガンを占領した方がよかった」と言いたいわけじゃないし、ランボーが悪いわけでもないのだが……。
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