ウサミ

her/世界でひとつの彼女のウサミのレビュー・感想・評価

her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)
4.1
ホアキンフェニックスのねちっこい(?)演技が本当に見事。過去にトラウマが〜とか自分の殻に〜みたいなキャラがバッチリハマってた。

人格を持ったAIに恋をする、というお話。これをキモいと捉えるかどうかでこの映画に対する評価、良いと思うか悪いと思うかが変わってくるのかも。

個人的にはAIとの恋愛は、キモい。
ただ、自分で言ったことを即時に否定することになりますが僕はこの映画けっこう好きな部類です。


好きだった点、まずは世界観。
現代より技術が進歩しているであろう世界、この映画が写すそんな近未来の世界は、情報技術の発展に伴い少し人と人との繋がりが希薄に感じてしまうような、ほんの些細な孤独感、映画の雰囲気も相まってその絶妙なニュアンスが伝わってきました。
口髭やシャツイン、肩下げバッグなどさりげなくその世界におけるファッショントレンドを作ってたり、細やかな点が面白かった。


AIとの恋愛というとんでもないものをテーマに扱っておきながら、そこから人と人との愛というものの難しさ厄介さ面倒さといった普遍的なモノを感じさせるのが凄い。まだ若く青い僕には理解というか経験が足りないことも多いけれど、なんかこう今の自分の姿に対して言われてる気がして、心をかき乱されながら観ました。
SFちっくな恋愛が描かれているのに、むしろ生身のリアルな恋愛について考えさせられる。


登場人物に感情移入したりして、話の展開に振り回されたりした。こういう感情を抱くのが恋愛映画の醍醐味だと言われたらそれはそうなんだろうけど、恋愛というものに関して人と人とのことで悩んだりするのは現実だけでいいや。恋愛映画はしばらくお休みです。


少し前の僕ならキモいおっさんのキモい恋愛映画や!!なんて豪語してたと思うんですけどねー
いつからこんな感傷的になったんや?(笑)と感じた映画でした。
ウサミ

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