カルダモン

インターステラーのカルダモンのレビュー・感想・評価

インターステラー(2014年製作の映画)
4.3
ノーラン祭りに踊らされているのは重々承知の上で。フルサイズで観られる機会があるなら、ということで都内最大のIMAXスクリーンまで足を運びました。


圧倒的な映像と煽るような音楽が特殊な用語や理論を置き去って、いつのまにか感動をインセプションされている。なぜ辿り着いた先が本棚の裏側なのか、という謎はさて置き宇宙の彼方から部屋の中にリンクするスケール感と飛躍がいい。

一面に広がるコーン畑から後ろ髪を引かれながら車を発車させ、重なるカウントダウンと共に大気圏を突破する。もう後戻りができない千切れるような想いが、何光年もの距離を超えて地球の腕時計の針を振動させる。わずかに動く秒針を見て「パパだ!」と気付ける察知能力、愛の伝達力こそが奇跡的です。

ゼメキス監督の『コンタクト』でもワームホールの先で親娘が繋がる話が描かれていますが、宇宙を描く=人間を描くようなものなんでしょうね。どこから来てどこに行くのか。広い宇宙を見上げつつ、頭に思い描いているのは自分の置かれた世界、家族の繋がりだったり。そんな視点になれる映画です。




映像について。
ザラついた画面や光のコントラストが醸すヴィンテージ感がいい。地球を捉えたショットも良いですね。実際に成層圏までIMAXカメラを飛ばして撮影したそうですが、なかなかそんなことをしてくれる監督はいないですからね。こういうのが観られるとそれだけで嬉しくなります。実写主義は度を越していて、コーン畑をタネから栽培して映画用に作り上げたり、巨大な扇風機で砂嵐を起こしたり。さすがにそこはCGでやれば?と思っちゃいますけど。
モノリスとHAL9000を合わせたようなロボットTARS。ドタバタ動く姿がとても愛嬌があって可愛い。さすがにこれはCGだろ、と思ったらこれも作って人力で動かしてたみたいですね。

惑星の表現はあまり魅力を感じなかったかな。逆に地味なカットとかが結構印象に残ってて、マン博士が無理やりドッキングする時の連結部分のツメがカチカチ噛み合わないのとか『2001年〜』ぽくてなんか好き。

好きな場面でいうと、コーン畑でインド空軍のドローンを追いかけるとことかね。あのシーンだけで短編映画として成り立つなってくらい魅力を感じます。


俳優について
マシュー・マコノヒーは『コンタクト』ありきのキャスティングだったんでしょうかね。アン・ハサウェイは知的な印象がないし、宇宙服が全然似合ってないのでウーンて感じ。マット・デイモンは翌年の『オデッセイ』で見事にイメージ回復を図ってます。