ローズマリー

子宮に沈めるのローズマリーのネタバレレビュー・内容・結末

子宮に沈める(2013年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

564本目。
2022 369
もう2度と観たくない。


家族のために家事をこなす由希子。幼い娘・幸とまだ赤ん坊の息子・蒼空を優しく世話する姿は幸せな母子そのもの。3人は食卓を囲むが由希子の夫・俊也は帰ってこない。子供たちを寝かしつけると電話をかける由希子。しかし呼び出し音が空しく響くだけだった。翌日は豪華なお弁当を用意し家庭内でピクニック気分を味わう母子たち。その夜は子供たちが寝た後に俊也が帰ってきた。自分の荷物を取りに来た夫に化粧をして肉体を求める由希子。俊也は疲れていると言って妻を激しく拒絶。嫌いならはっきり言って欲しいと詰め寄る妻に煮え切らない態度を見せる俊也。彼女はそんな夫を何度も叩いた。しかし俊也は何も語らずに家を出て行った。残されて力なく座り込んだ由希子に幸の鳴き声が聞こえてくる。由希子は子供と共に新たなアパートに移った。それでも気丈に子供たちと暮らし自立を目指し医療資格を取ろうと勉強を始める由希子。そんな彼女の元を訪ねる高校時代の友人の恵子。友人たちの近況を教えた彼女は由希子に水商売を勧めた。その後勤め先から夜遅く帰ってきた由希子を眠らずに待っていた幸が出迎える。育児に追われながら働きに出る由希子は徐々に余裕を失いつつあった。それでも幸が発熱していると気付くと仕事に向かうのを断念し娘の世話をする由希子。優しい母の姿勢は幸を安心させるが同時に由希子は1人思い悩んだ末に新たな職を選んだよう。
ある夜派手な身なりで夜遅く帰宅した由希子を幸が出迎えると母は要という男を連れていた。要は幸に優しく声をかけるが思わず母の体の後ろに身を隠した幸。そして由希子は体を求める要を拒みきれずに子供たちがいるアパートでそのまま関係を結ぶ。由希子の目を盗んで母の化粧を真似て派手な水商売の衣服やヒールを身に付けた幸。弟と戯れる姿は母と要の行為を真似た無邪気な遊びだったのかもしれない。それを見て怒ったのか厳しく母に叱られた幸は大きな声で泣き以前のパパがいいと叫んでいた。泣き叫ぶ幸を残し穏やかな声で蒼空をあやす由希子。ある夜部屋に現れた要は今は子供たちは寝ていると強引に由希子の体を求める。しかしその嬌声を聞いて目覚めた幸は部屋で物音を立てた。行為を終えると由希子の引き留めに応じずにそそくさと部屋を後にする要。蒼空の泣き声が彼が出て行かせた理由だと由希子は考えていたのかもしれない。そして日中はすっかり散らかったアパートの部屋に幼い幸と蒼空だけが残される日々が続く。由希子が子供たちに用意する食事も粗末な物になってきた。テーブルの上に留守中の分も含めた山盛りのチャーハンを用意した由希子。食卓についた子供たちをタバコを吸いながら見守る由希子は幸に優しく声をかけて夜の仕事に向かう。その母に早く帰ってきてねと告げて見送る幸。幾つものゴミ袋が放置された部屋でまだ乳児の蒼空を世話するのは幸。幼い彼女に出来ることには限界がありそして幸自身もまだ世話を必要とする年頃。それでも必死に自分自身と幼い弟の世話する幸。母は未だに帰ってこない。床にこぼれた粉ミルクを見よう見まねで水に溶き弟に与えると幸は母が作り置いた粗末な食事で空腹を満たす。しかし由希子は帰ってこない。母がどこにいるのかと1人空しく訴える幸。その声は散らかった部屋の中に空しく響く。母の用意した食事が尽きると幸は缶詰を開けようとするが幼い彼女には出来ない。やむなく蒼空の粉ミルクを飲み空腹を満たす。そんな状態も必死に乳児の弟を世話する幸。それから何日たったのか。蒼空のために誕生日を祝う幸だが弟は反応する力を失っていた。
ある日アパートの部屋のチャイムが鳴らされた。ようやく母が帰ってきたと信じ苦労して受話器を取った幸。しかしその時にはもうチャイムを鳴らした相手はいない。応答しない受話器に向かって幸はママと呼びかける。もはや何も言わなくなった弟に話しかける幸。部屋にはハエの羽音が響いていた。幸はゴミ袋を漁り始め何でも口に入りそうなものを食べるようになっていた。おもちゃの携帯電話で母に呼びかけてもむろん返事はない。暗くハエの舞う室内で「幸せなら手をたたこう」を歌う幸。彼女はマヨネーズなど口に入りそうなもので空腹を満たす。幸は幸福だった頃の家族を落書き帳に貼った写真と絵で描いた。もはや食する物がなく空のマヨネーズの容器に水を満たしそれを飲むしかない幸。彼女が横になっていると部屋を目張りしたテープを剥がす音が聞こえてきた。ようやく母の由希子が帰ってきた。部屋に入って来た母に駆け寄ってしがみつくとママ、遅いよと訴える幸。しかし派手な姿で現れた由希子は部屋の臭気に耐えられず思わず鼻を押さえた。何も言わずに窓を開け空気を入れ替える由希子。部屋の床にウジ虫が無数に落ちている。蒼空が動かないと訴える幸に何も語ること無く部屋を片付けると洗濯機を回し湯船いっぱいに水をはった由希子。彼女は娘を浴室に連れて行き激しい水の音が響く。
そして小さな体をビニールとガムテープでぐるぐる巻きにしている由希子の姿があった。黙々と散らかった部屋の中の物を袋に入れて始末する由希子。しかし床に横たわった幸の体を引きずった後に彼女は椅子に座り込む。自分の下腹部に手を押さえ幸をあやとりをした赤色の毛糸を手にした由希子。やがて彼女は泣き始めた。押し殺したうめくような泣き声をあげる由希子。毛糸の先には赤いマフラーを首に巻かれた物言わぬ幸と蒼空の体があった。嗚咽しながらシャワーを浴び身を清めた由希子は全裸のまま2人の我が子の体をピクニック用のレジャーシートで包む。部屋の外には明るく昼の陽を浴びる何事も無さげな日常の風景が広がっていた。
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