ベビーパウダー山崎

ラスト・ダイビングのベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

ラスト・ダイビング(1992年製作の映画)
3.5
自殺したいときに見たい映画でもないし、生への執着、生きる悦びみたいのも特になくて、ただ、その出来事が通り過ぎていく。キチガイのヘルダーリンの言葉が流れてバッハが聞こえてくる。ひまわり畑に波の音、そして、鳥が飛び立ち。美しさでうっとりするより、狂気と孤高。寝たきりの妻が身体の痛みから呪いのような声を発していたが、人生は厳しくどうにもならない。死ぬなら二時間も考えずにあっさりと飛び込むべきという教訓。やっぱり、年を重ねてキツかったら死んだほうがマシということか。一生ヘラヘラしていたいけどなあ。輝きは空しさと等しく、その一瞬しかない。口が不自由な娼婦は『刑事物語』と重ねていきたい。モンテイロと武田鉄矢が繋がるのもまた「映画」。