藤原直樹

ドム・ヘミングウェイの藤原直樹のレビュー・感想・評価

ドム・ヘミングウェイ(2013年製作の映画)
2.8
傑作になりそうなのに全編の「これじゃない感」が残念な一作。

ジュード・ロウが立派な腹を出して大胆に演じたドム役はなかなか衝撃的。
冒頭からムショ仲間に○○○○○してもらったりね。
彼は口を開けば下品な言葉ばかり、ひたすら横暴で自分を中心に世界が回っていると思っている人種だ。
おまけに運にも見放されて12年間を犠牲にしてまで得た大金をミステリアスな美女パオリーナに奪われてしまう。
だが、一番後悔すべきなのは自分の娘の側に居られなかったことだ。
娘の成長を見届ける事が出来ず、妻もガンによって先立たれてしまう。
ドン底に落ちて惨めな主人公ドムを観客は応援したくなる...はずだった。
どうも登場人物に感情移入しにくいのが非常に残念なところで、相方のリチャード・E・グラントとの絡みもいまいちハマらない。
クライムコメディとしては不完全燃焼だし、ハートフルなドラマにした方が幾分良くはなったろうに....
ダラダラとして助長的な描写が多い為か前半から中盤までが物凄く長く感じてしまったのと、全体的なまとまりに欠けるのが一番の不満点。

とは言え全体的な雰囲気は抜群に良い。
鮮烈な赤や青や緑のライティングが印象的で構図もしっかり計算されている。
ちゃんと監督のカラーが出ているのは素晴らしい事だ。
藤原直樹

藤原直樹