藤原直樹

ワンダーウーマン 1984の藤原直樹のレビュー・感想・評価

ワンダーウーマン 1984(2020年製作の映画)
3.7
ワンダーウーマン単独2作目。
前作に引き続きパティ·ジェンキンスがメガホンをとった本作は映像のダイナミズムに加えて前作以上にメロドラマ的アプローチに力が入っている。
特殊な方法で舞い戻ったスティーブとの束の間の幸せ....
女性監督らしいというか女性視点によるロマンティックな映像が素敵。
透明化した✈で花火の中を飛ぶシーンが特に良い。
愛する人が戻って来てからは女の顔を見せまくるガル·ガドットの魅力満載。

MCUのヒーロー映画には魅力的なヴィランが多く登場するのだけど、DCのヒーロー映画には魅力あるヴィランが登場することは少ない。
「スーサイド・スクワッド」の妖しくクネクネする魔女や「マン·オブ·スティール」のゾッド将軍、「バットマンvsスーパーマン」のドゥームズデイ....もしかしたら元々が人間じゃないから魅力的に感じないのかもしれない(個人的に)。
ヒーロー映画を観るときはヒーローよりも寧ろヴィラン中心に見てしまう。
悪に染まりながらも葛藤する姿が見たいのだ。
本作は二人のヴィランが登場するがどちらも元々人間である。
彼らは決して本当の悪人でないと思う。
本当の悪に染まる一歩手前で我に返るのだ。
彼らと同じシチュエーションになればきっと多くの人が同じ事をするだろう。

魔法の石を握って願い事をすると一つだけ叶うのだが、ヴィランのマックスウェルは自分自身を魔法の石にして他人の願い事を叶えていく。
見返りに自分の欲しいものを全て手に入れていくが、代償として大切なものを失っていくというカラクリがある。
もっともっと、欲していく毎に彼は自分を見失っていく。
そして我に返ったときに気付くのは幸せは目の前にあったのだということ。
彼には息子アリスタが、息子には父親が居ればそれで良かったのだ。
もう一人のヴィラン、バーバラは元々は地味で誰も自分なんかを見ていないと思っている。
強くてセクシーなダイアナに憧れを抱いた彼女はダイアナのようになりたいと願ってしまう。
強くてセクシーなチーターになった彼女は優しさを失ってしまい後戻り出来なくなる。

この映画を観ていてアリシア·キーズの{if ain't got you}という曲を思い出した。
曲自体も良いが、歌詞が本当に素敵なので聴いてほしい。
金や権力や名声....この世の全てを手に入れてもそこに愛するあなたが居なければそんなもの何の価値も無いという歌である。
藤原直樹

藤原直樹