藤原直樹

白いカラスの藤原直樹のレビュー・感想・評価

白いカラス(2003年製作の映画)
3.9
「クレイマー、クレイマー」のロバート·ベントン監督がメガホンをとった人間ドラマ。
ニコール·キッドマンとアンソニー·ホプキンスの名演が心に残る秀作。

生涯、誰にも言えない秘密を抱えた老人と悲しみを背負った女。
二人の孤独な魂が巡り合う。

物語が進行するにつれて次第に主人公の過去が見えてくる。
社会の中で差別や偏見が浮き彫りになり、それらによって翻弄される人生。
"血"とは決して断つことの出来ない鎖なのかもしれない。
赤ん坊はこの世に生まれたときからその鎖に繋がれ選択することも出来ない。
この映画の原題「the human stein」は日本語で"人間の傷"である。
それは外からは見えず、大抵の場合誰にも言えないようなものだ。
その傷から逃げるのではなく、向き合うべきなんだとこの映画は訴えているように思う。
藤原直樹

藤原直樹