カテリーナ

トム・アット・ザ・ファームのカテリーナのネタバレレビュー・内容・結末

4.6

このレビューはネタバレを含みます


エピローグを迎えた瞬間の失意の先に物凄い映画への渇きを覚える
不穏な空気を漂わせた
余韻こそがこの映画
圧倒的な映像に酔う

フランシスとギョームの兄弟
25歳で命を落としたギョーム
その恋人のトム 一体彼らを狂わせ
たものは何か

舞台となる田舎の農場は
広大で見渡す限りの平地なのに
物凄い閉塞感が終始つきまとう

フランシスの暴力的な性格を現すのに凶暴さや暴言を映像で見せるだけでなく
こちらにジワジワと伝わってくる
途轍もない恐ろしさ

夜のバーでビールを飲むトム
ライトの当たり具合が幻想的で
なんて美しい青年と惚れ惚れしてる間も無く狂気の世界へ引きずり込まれる
地べたをズルズルと農場の牛の死骸を運ぶ
映像が瞼をかすめる
そこでバーテンの話すフランシスとギョームの起こした事件
バーテンの淡々とした口調が
現実味を帯びて尚更
恐ろしい

フランシスとギョームの兄弟の過去がそこから透けて見えてくる
もっと不気味なのはサイコなフランシスを育てた母親
まるで駄々っ子を叱りつけるようなビンタから抑圧された母親と息子の関係が伺える
フランシスが凶暴な理由がそこにあるのではないか?

ここ最近考えるという映画から遠ざかっていた事に気付いた
この映画は余韻を(苦しみながら)楽しみながら浮かんだ疑問について彼是考える映画なんだ
嫌、考えずにいられない映画なんだ

なんと無く落ち着かない
腑に落ちない

もう一回見ないとわからないでも
また見る勇気がない

ドラン君は自然体でも美しいどんなに汚れても綺麗なんだけど
映画全体を覆っている不穏な空気に絡め取られる自分がいる

凄い映画を見ちゃったなぁ
カテリーナ

カテリーナ