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罪の手ざわりのsnatchのレビュー・感想・評価

罪の手ざわり(2013年製作の映画)
5.0
当時、ぼやっと観始めたら不意打ちの暴力を喰わされた作品🎬
場所は田舎に見えるが、今の中国ではどこでも何かを建設中だ。札束が乱舞している。この乱舞の下で永遠に札束には手が届かない人が大勢いる。四つの物語のどこにでも出没し浮遊している出稼ぎ労働者たちだ。物語の主人公たちも似たり寄ったり。彼らに残された、札束より大事なものは自尊心。その自尊心を足蹴にされた時、カサカサな心の廃墟の中に自分も知らなかった暴力が目覚める。絶対に負け犬、臆病者なんて言葉は許さない、絶対に命乞いなんかしない。そんな肩で息しているような彼らを見ていると、動物や自由に動き回れる蛇の方が、生きていくのがマシだなと思う。人間のケダモノにはなりたくない。

そして、他人の死と自分の死を探し回る既に心が死んでいる妻子ある若い男。この男をスクリーンに平然と淡々に映す行為が私の背すじを凍らす。

ショックだったのは、殺しも強盗も選ばなかった若者の末路。私が中国で暮らしていた時、金や力がなくても、いつも自信満々のタフな中国人にしか会ったことがなかったから。別に田舎で将来が楽しみな我が子が待っているわけでもない、来る日も来る日も長時間単純労働をして仕送りして、ある程度この先も決まっちゃっている出稼ぎの若者たちの抱える孤独の深さと脆弱な心がショックだった。

相変わらずジャ ジャンクーの美しいものを全く映さないのに、1カット1カットが汚れていて美しい。そして、若い男女の映し方が上手で、なめらかで好き。あと、風俗店の女の子たちの中国の軍服をパロったコスプレには参った‼︎ これが上映禁止の最大理由だったりして〰🤭
彼の映画はデビュー作から順番に観ていくと映画作家として本当に面白い🎬中国映画初めてで、突然これ見たらキツイかもですね…🤕
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