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午後の網目のmingoのレビュー・感想・評価

午後の網目(1943年製作の映画)
4.1
数年ぶりに鑑賞。
映像の教材として使っている学校は多いと思うのだが、夢を媒介にしながらも内面の探求に向かう物語からは当時の映画そのもの構造をも探求した傑作であることは否めない。アメリカ実験映画先駆者マヤデレンの処女作。

冒頭に落ちてくる花一輪。ファーストショットの影はすでに非の打ち所がないほどに完成されている。
花、鍵、ナイフ、黒電話、階段、風にたなびくカーテン、それに空転するレコード。少女は椅子に座り、瞳を閉じる。その傍らに同じ少女が立ち、窓の外を眺める。夢のような景色。歩く足下を映したシーンでは一歩目が砂浜、二歩目が草むらと歩を進めるごとに舞台が切り替わってゆく幻惑的なカット割りも挑戦的で素晴らしく、視覚的な楽しみがたっぷり。

ちなみに横浜美術館常設展でも鑑賞できる。現在開催中の「複製技術と美術家たち」(6/5まで)をみるついでに行くとグッドです◎
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