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超高速!参勤交代の群青のレビュー・感想・評価

超高速!参勤交代(2014年製作の映画)
3.0
皆さんの一番好きなおでんの具はなんでしょうか?(突然)

やっぱりお肉?
それともジューシーなこんにゃく?
熱々で火傷しそうな玉子?


私が好きなのは大根です。
昔から日本人が大切に育ててきた野菜ですね。
大根はおでんの汁を吸ってなお大根としての食感と味を残します。
その味は農民が丹精込めて耕した大地の味そのものなのです。手間暇かけてできた味、つまり自分のしたことが返ってくる。それがダイレクトに伝わるのが大根なんです。


この映画も自分のしてきたことが返ってくる作品。それはいい意味でも悪い意味でも。


主人公の内藤政醇(佐々木蔵之介)は参覲交代から帰ったばかりにも関わらずもう一度参覲交代をするよう通達が来る。藩としての規模は小さい、大名行列ができるだけの人数もお金もない。そして何より日数が足りない!こりゃどうすんだ⁉︎ってな話。

最初こそコメディチックだが状況が状況だけに少しずつシリアスになっていく。自分は終始コメディだと思ってたので少しびっくり。なんなら後半にはしっかり殺陣があったりする。
でもこの作品の魅力は主人公政醇の人の良さだ。

大名行列の籠には入らない(これには訳もあるが)、部下の一人一人挨拶をする。何より先ずは民のことを考えている。こんなもんだから部下の信頼も厚い。
特に参謀役の相馬(西村雅彦)は頭も切れるためなにかと政醇が頼る。この人が本当に頭が切れる!
この超高速参覲交代のはこの人が要といっても過言ではない!。色んなところで知恵を発揮して感心するような場面が多かった!しかし痛手も多くて橋でのシーンは可愛そうなんだけど笑いが止まらなかった笑
というか色んな人から頼られるのは同じ俳優のラヂオの時間を思い起こさせた。あっちはへこへこするだけでまるで使えないがこっちは頑張って頭を絞る。コメディリリーフ的な役回りで可愛い笑

他の部下もみんな考えは違うものの政醇を信頼しているのは変わらず、それぞれの一番得意なスキルを使って政醇を手助けする。

このように政醇の人の良さが前半にふんだんに盛り込まれる。しかも前半はそれとなく提示されるだけで後になってやっと、アレはあの時のアレか⁉︎と、文字通り伏線としての機能も果たしてる。
つまりは気持ちいいいい!
政醇GJ!となる笑

さらにこの人武芸も出来てて殺陣ではやっちまえ!という敵をしっかり殺っちまうのでここもまた気持ちいい笑 佐々木蔵之介さんのメリハリのある演技もその助けになってる。
部下や民には優しく、遊女にさえ物腰柔らかに対応する。
一方敵に対しては一歩も引かない強い意志が目に宿ってて、ドスの効いた声も出てきてかっこいいことこの上ない。


主人公が強い意志を表すためには敵も重要。その点では陣内孝則さんの地位を我が物顔で使っているキャラにフラストレーションがどんどん溜まって良い笑
こいつのせいでみんなが頑張って参勤してるのかよ…とか思うともう今作の世界に没頭出来るんだよね笑


重くなりがちな時代劇モノだけど適度に重さも残りつつ分かりやすいストーリーとテンポの良さと、そして回り回って良い人は良い縁に。悪いヤツは因果応報!でスカッと出来る。
まさに大根のように味わい深く、後に引かない抜けの良い作品になってる。コレ観ると大根食べたくなるよー笑
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