海

ランナウェイ・ブルースの海のレビュー・感想・評価

ランナウェイ・ブルース(2012年製作の映画)
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凍えきったこの広い街の片隅で、毛布にくるまり眠る犬がいた。寒空の下、人の家の庭から一匹の犬を盗み出し、連れ歩く主人公を見ていて、ああこれだと思った。ウィリー・ヴローティンの物語にある「やさしさ」は、ありがとうやごめんなさいや愛しているでいっぱいに詰まってしまっている。ほかのどこにもいけなくなるほど、詰まってしまっている。だから好きなんだ、わたしは、窮屈なままで、どこかへ走り出そうとする話が好き、自分がどんなに傲慢でどうしようもないのか分かっていて、それでもなお目覚め信じ演じ愛し夢見るのを、辞めない話が、好きだ。「話すのはよそう。この気持ちのまま寝たい」
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