さとり

ホットロードのさとりのレビュー・感想・評価

ホットロード(2014年製作の映画)
5.0
映画化をしてくれてありがとう。

眠れない夜がある。昼間寝過ぎたとかではなく、生きていく事に対して、もういいかなぁ。と思う日がどうしてもある。
そんな、やるせない夜にこの作品の予告に救いを求めていた時が高校生の時にあった。DVDもなくて、配信サービスの数百円にも手を出せない高校生の私は、予告と、iTunesでお試しで聴けるサントラを頼りにしていた夜があった。
何かに対して渇き、求めているいる私の、どこにも行けない気持ちに寄り添ってくれるのは和希と春山この作品だけだった。
励ましてもくれず、どちらかと言えばもっと深いところに引きずってくれるこの作品は、私にとっての救いという存在になっていった。

中学生に見えなくても、時代設定がどこかわからなくても、
能年ちゃんの和希には、私の表情を代わりにやってくれているなと思ったし、言葉を丁寧にいう映画オリジナルの春山も大好きだから。
和希と春山が、止められない自分からの開放を獲れた事を追体験して、そして気がついたら、私のこの負の感情から、いったん別れることができた。

泣き疲れ、悩み疲れた夜にこの映像が現代にあることが救いになっている人が少数いることは事実だから、私はこの作品を支持したい。
能年玲奈も竹富聖花も、もういない。いないからこそ、彼女たちはこの暗闇にはもういないという、ある種の喜びの解釈もできる。

ホットロードのパンフレットの鈴木くん役、小澤征悦さんのインタビューは、10代を過ぎた私たちがこの作品をどういう心持ちで観ることができるのか、書いてあるのでそこまでみたいという方は是非みていただきたいと思います。

最後に改めて。
「ホットロード」を映画化してくれて、ありがとう。
さとり

さとり