さとり

シン・エヴァンゲリオン劇場版のさとりのレビュー・感想・評価

5.0
物語の終わりを目にすることができる喜びと喪失感を、劇場いっぱいの観客とともに迎えることができた。みんなで劇中、固唾を飲んで彼らが幸せになること、報われることを願っている様子が、他の作品からは感じない事だったと思う。それと同時に、自分自身も幸せになること、報われることを願ってみているようであった。

エヴァ作品が好きと言っている人はどこかでシンジくんのような苦しみ・アスカのような寂しさ・ミサトさんのような覚悟を心に入れて生活した過去がある人だと思う。いつしか登場人物と自分を同化させていた時期もあるのではないか…。というかレビューを見ているとそういう面持ちの方がたくさんいる。みんな仲間なのかもしれない。
だから、そんな自分が、見知らぬ天井を見つめ、だから、みんな死んでしまえばいいのにと心から思い、眠れぬぬ夜を超えて、幸せになってほしいという願いがあったと思う。

中学生か高校生の時に初めて劇場版エヴァンゲリオンを観て、嫌なものを嫌というシンジが、素直に表現にできて羨ましいな。
こっちは日常で叫ぶことなんてできないのに。と、妬む気持ちがあったからシンジくんが(エヴァも含めて)そんなに好きではなかった。
この度「終わる」ということで、改めてアニメ版+3部作を見返した。すると
いつかの私であったシンジくんの気持ちもわかるし、ミサトさんはやっぱり信頼できる大人で、アスカは空元気だけど、やっぱり大切だし、風呂は命の洗濯だと教えてくれたエヴァが好きな作品だと思えた。
中高生の頃、どうにも抜け出せなかったエヴァを観た後の心の寂しさと、今ではなんとなく上手く付き合えている自分がいることもわかった。私は成長しているのかもしれない。

数年後また観た時には新たな感想を書こう!
さとり

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