さとり

ショーシャンクの空にのさとりのネタバレレビュー・内容・結末

ショーシャンクの空に(1994年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ある会で偶然ペアになった方にお勧めされた映画。
その方が休息をとっている期間に観て印象に残っていたのでお勧めしてくれた。
観終わったいま、オススメしてくれたことを本当に感謝しています。私の洋画の扉を開けてくれた気がします。本当にありがとうございました。

刑務所からの脱走劇である、今作。冒頭は刑務所での生き辛さについて描かれている。こんなところ、一刻も早く抜け出したい。。
一方で長年刑務所にいる組は、刑務所というところに生きやすさを感じている。
その対比を残し、中盤では長年いた組の老人が外の世界に戻った時の生き辛さ、生きている意味のなさを実感し、希望をなくして自死を選ぶ、虚しい展開になっていた。
老人は、出所してから仕事があったし、寝る場所もあった。少ないだろうが給料もでていたと思う。しかし、その境遇の人でも「希望」がなければ生きる意味を見いだせず、死んでゆくのであるとわかった。
前に、何か(YouTubeのコメント欄だったような)で、「私は親もいるし、食べ物に困っている訳でもないし、不自由はしていないんだけど、生き辛さを感じる。贅沢な悩みかもしれないけど…」という投稿を見たことがある。
この映画を観てその投稿者と自死を選んだ老人が、似ているような気がすると思った。 

パンフレットの1ページ目には、こんな1文があった。
「希望に向かって、あなたは今、何をしていますか…」
ドキッとする、文章。
そして改めて希望とはなんなのかを考える。
きっと「将来の夢」とは違ったニュアンスだし、現実的なニュアンスを持つ「目標」とも違う。「憧れ」でもない。
いや、「将来の夢であり目標であり憧れの総称」なのかもしれないが、
「希望」という表現の方が、より「暗闇の中にいる私が、思い描いている姿」の意思を持っている気がする。
そうか、それが希望か。私はどれほど努力できているだろうか。

さてさて、これまた中盤で、刑務所にいるみんなが上を見上げるシーンがある。アンディーがかけたレコードが流れるスピーカーをみんなで見上げ、聴いているシーン。
私はこれを観て、缶コーヒーのBOSSのcmを思い出した。
どのタイミングでのcmだったかは覚えてないが、宇宙人調査官シリーズで、その調査官が、「今ほど皆が下を向いて歩いている時代はないな〜。」とぼやいた後に、坂本九の「上を向いて歩こう」が流れるやつだった。ちょうどスカイツリー建設時で、今まで下を向いていた人たちが次々と顔を上げて、スカイツリーの写真を撮ったり建設現場を見上げる場面が流れる。そして、ナレーションで「この惑星の住人はなぜか上を向くだけで元気になれる」というのだ。
そのcmとこの作品のそのシーンが妙にマッチして、私はすごく救いを感じた。
いや〜、やっぱりあのcmは素敵なcmだし、映画のあのシーンは素敵だなぁ。

ここではないどこかへ。と思っている私に大切な事を教えてくれる映画との出会いができました。

(この映画のタイトルが「HOPE」ではなくショーシャンクの空に」というものすごいよかった)
さとり

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