イペー

パージのイペーのレビュー・感想・評価

パージ(2013年製作の映画)
3.6
襲っていいとも!

2022年のアメリカ、一年に一回だけ、あらゆる犯罪が合法化されるパージの夜。ある富裕層の一家に降りかかる災難を描く、シチュエーションスリラー。

どんな犯罪も許される、パージという夢のよう…じゃない、悪夢のようなシステム。
言わば、その設定自体が主人公です。

ホームセキュリティをご近所に売り、儲けたお金で豪邸住まいのサンディン家。もちろんセキュリティはバッチリ。
余裕綽々でパージの夜を迎えます。

その後、すったもんだあって、家の中で侵入者を探し回ったり、家の外の賊たちと駆け引きしたりします。スリラー展開に突入です。
しかし、ここに至るまで、サンディン家の面々の言動がイマイチ腑に落ちないというか…。

特殊な状況設定であるとはいえ、一貫性に欠ける一家のアレコレが少し気になります。更に言えば、事態は夜に起こっているワケで。
…暗くな〜い?
スリラーの鉄則として、彼我の位置関係が明確でないと、緊迫感が出ないと思うのです。尚且つ、表情が分からないので、感情の動きもトレースしにくい。

文句ばっかり言ってますが、アイデアとしては非常に好きです。だからこそ、欲が出てしまいました。賊のリーダーを演じたリース・ウェイクフィールドの不気味さ漂う怪演は好印象。夢に出そうです。

アメリカの抱える問題。愛国心との向き合い方。この作品の持つ鮮度の良さは、ナーバスな同時代性を孕んでいます。
日本に置き換えて考えても、そもそも家も町も小さすぎて、成立しないかもしれませんが。

罪を憎んで人を憎まず、ではなく、人を憎んで罪を憎まず、でしょうか。
いずれにしても、煩悩から遥か遠ざかっている自分には無縁の話です。
(…もし実現したら、あんな事や、こんな事も…。)