真っ黒こげ太郎

イコライザーの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

イコライザー(2014年製作の映画)
4.5
”19秒”で、世の不正を”完全抹消”する――――。


…ぶっちゃけ最初このキャッチコピーを見た時はてっきり「SF系の映画かな?」と思ってました。
だって19秒で世の中から完全抹消するんだぜ?w
そんなファンタジーやメルヘンじゃないんだから。

…実際はSFとかファンタジーだとか、そんなチャチなもんそじゃあ断じてねえ、もっと恐ろしいぶっ飛んだ片鱗を味わう事になったが。




町のホームセンターで働きながら平穏に暮らす男、ロバート・マッコール。
彼は警備員志望の太った若者ラルフィを導いたり、カフェで娼婦として働かされている不憫な少女アリーナと交流したりしながら静かに暮らしていた。
そんな中、アリーナが集中治療室に送られ入院する事件が起こる。
アリーナは乱暴な客に反撃するが、苦情を受けたロシアン・マフィアのスラヴィによって見せしめに痛めつけられてしまったのだ。

マッコールはロシアン・マフィアの元に向かい、9,800ドル払うので彼女を自由にして欲しい申し出るが、彼女からむしり取る気満々なスラヴィは嘲笑い断る。
…静かな怒りに燃えるマッコールは秘められていた戦闘能力を解き放ち、その場にいたロシアン・マフィア達を19秒で抹殺!!!
実はマッコールの正体は元海兵隊員でCIAの特殊工作員、通称「イコライザー」だったのだ!!!

その後、上司の許可を得てロシアン・マフィアの情報を得たマッコールは、再びイコライザーとしての仕事を遂行していくのだった。




元CIAの特殊工作員が自身の戦闘スキルを解き放ち、世に蔓延る悪を成敗する、”秒殺”ハードボイルドアクション。
テレビドラマシリーズ「ザ・シークレット・ハンター」の映画化作…らしいけど詳しくは分からん。
(ってかこれもテレビシリーズの映画作品だったのか。)

監督は「トレーニング デイ」「ティアーズ・オブ・ザ・サン」「ザ・シューター/極大射程」「エンド・オブ・ホワイトハウス」等ドラマからアクションまで様々なジャンルを数多く手掛けるアントワーン・フークア氏で、主演は「トレーニング デイ」等でフークア氏とタッグを組んでいるデンゼル・ワシントン氏。
(ってか何だかんだでフークアさんの作品いっぱい見てる…。)

今作、10月に3作目の最新作が公開されたのだが、ダラダラと先延ばしにしていたら11月初めにもう公開終了するというアナウンスが。
という事でサッサと見直して劇場へギリギリ滑り込むために見直し鑑賞。w

話の大筋はシンプル&王道で、健全な街の人を脅かす悪人共に対して「法に代わっておしおきよ♡」としゃれ込む、所謂ヴィジランテ映画の黄金パターン。
今作は「舐めてた相手が実は殺人マシンでした」映画として有名な作品なので、わざわざあーだこーだ書く必要はないだでしょう。
が、取り合えず適当に感想を殴り書きしときます。w


何といってもデンゼルさん演じるマッコールがメチャクチャカッコいい。
普段は未来ある若者達にポジティブな言葉を送り、彼らを導く優しい大人として愛されているが、彼らがクズな悪人共に脅かされれば一変、圧倒的な戦闘力でワル共を成敗する殺人マシーンに変貌!!!

悪人共は見事なまでにクズの集まりで、娼婦の女性や若者の家族が理不尽に脅かされる場面は怒りと滞りを感じずにはいられない。
マッコールは悪人達にも正しい事をする”機会”を与えるが、相手は思いっきり舐め腐っており”機会”を無下にする。
(一応”機会”を与えられて従った悪人も中盤で出てくるが。)

こうなったら遠慮はいらねぇ、って事で反撃に出ればもう凄まじいまでの強さ!!!
マッコールさんが反撃モードになるまでに結構時間は掛かるのだが、それまでに虐げられ痛めつけられ酷い目に遭う人がしっかり描かれるので、いざ反撃が始まればそりゃもう「スッキリ爽快!!痛快丸かじり!!」ってな感じで実に溜飲が下がりました。
やっぱドジョウもない悪人がしっかり成敗されるのは見てて気持ちいいですね。見ててスッキリします。

反撃の都合上アクションはそこまで多くは無いが、身の回りの物を駆使して戦う戦闘シーンが実に良い。
敵の攻撃を見事に捌きまくってナイフや銃で容赦なく殺るのは勿論、目にショットグラスを突きさすわ、ワインオープナーでブッ刺すわ、車の中に監禁してガス拷問するわで実に容赦がない。
(「熱したはちみつで消毒&止血」というのも斬新。)
クライマックスの死闘ではホームセンターでマフィアを迎え撃つのだが、そこにある道具を駆使して敵を倒してゆくDIY展開も倒し方に興味を持たせ、全く飽きさせない。
タンカー大爆破を背に去る、スプリンクラーの雨の中から現れ敵を抹殺!等、大袈裟だけどカッコ良くてケレン味に溢れる場面も好き。


因みに予告とかでは「19秒で悪を裁く!」というぶっ飛んだ謳い文句で話題になってますが、ぶっちゃけ半分くらいは嘘です。w
そりゃあ序盤に「16秒で敵を成敗しようとしたら19秒かかった」な場面はあるが、後半に至っては場面転換した時点で悪を成敗済みなんだぜ!?
「敵のタンカーの情報ゲット」→「暗転したらタンカー大爆発!」とか、「クライマックスの大バトル」→「場面転換したら既にすべての元凶であるロシアンマフィア壊滅」はもはやギャグの域。19秒”すら”かからない!w
元○○の凄腕戦闘員というアレコレを加味しても明らかにやりすぎレベル、ある意味セガール御大とは別ベクトルでやりすぎな無敵っぷりを豪快に書いてると言えるでしょう。w
(因みに吹き替えは大塚明夫さん。すっかり無双オヤジの吹き替えではお馴染みになってますね。w)


強いて文句を言うなら、全体的にドラマ重視の出来なので、ベタな内容の割に132分の尺は若干長いかなと思った事ですかね。
悪人側が主人公の事を調べるアレコレも描かれてはいるが、そこら辺はもっとテンポ良く処理しても良かったんじゃないかな…。
(最も、それを反映したのか本シリーズはナンバリングが進むごとに尺が短くなってゆきますが。w)
とは言え、主人公と善良な人々の交流とか、警備員を目指して若者が終盤に主人公に教わった事を活かして窮地を救うとか、そこら辺のドラマ展開も心温まる展開で良かったですね。


そんなこんなで実に痛快でスッキリする、この手の悪人成敗系映画としては実に理想的な本作。
アクションの数が多いワケではないし、何処までも王道な必殺仕事人系の懲悪勧善モノなので目新しい所はそこまでないが、その手の悪人成敗映画でスッキリするのが好きな人なら見て損は無い逸品です。


さて、この調子で続編も見て、3作目を滑り込み鑑賞せねば。
皆は俺みたいに乗り遅れないように、気になる映画があったら早めに見に行こうな!w