真っ黒こげ太郎

大脳分裂の真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

大脳分裂(2000年製作の映画)
4.5
映像表現のタブーを破り、映画はついにここまで辿り着いた!

人間の左脳が狂った時、それは人格破壊を超える人類最終形態となる!!

あなたは正視できるか?理性を失い獣と化した狂気の精神異常者の生きざまを!!

…全く話の内容が入ってこないのだが、それもその筈である。



①「卵巣の目玉」
「人間の性格がなせる業は、どんな映画よりも残虐である」
左脳を破壊し、理性を消滅させる。
②「人間の幼虫(精子)」
兄(日本語吹き替えが中原茂さん!!)が妊娠した妹を溺愛し、出産を手伝うが、深層心理に残虐性が眠っていた兄はある計画を実行する。
③「再生」
平野で大地を愛撫し、裸体で地球そのものと交わる男女。
穴を掘り血が流れ出る大地と○ックスし、木の枝を折って血を噴き出させ、女性の股にあるナイフで○ェラチオする。
④「最終章 右脳/マーティの部屋」
ビジネスマン風の男が、仕事を終え自宅へ帰ってくる。
アダルトビデオを見ながら自慰行為に耽り、賢者タイムになった後ビデオをディスり眠る。
すると右脳から来た自分自身の分身(因みに彼の吹き替えも中原茂さん)が現れ、左脳を破壊すると言い…。
⑤「悪夢」
キリスト風の姿をした血まみれの殉教者が、3人の裸の女に弄ばれた挙句…。
⑥「エピローグ」
眠っていた先程のビジネスマン風の男。彼の顔が…。




人間の潜在意識の中にある残虐性を描いた、オムニバス・ホラー(?)映画。
原題の「Subconscious Cruelty」とは「潜在意識の残虐行為」という意味。

監督のカリム・ハッセン氏は撮影監督畑の人のようで、撮影監督として「ホーボー・ウィズ・ショットガン」や「炎の少女チャーリー(リメイク版)」、「ポゼッサー」、「エスター ファースト・キル」等に携わったみたい。


何やら本国カナダでは発売禁止を喰らった問題作らしく、かなりヤバいエログロで、アンモラルでアングラなシロモノらしい。
SNS上でのレビューも賛否はあれど「本作は狂ってる」「どうかしてる」の連続。

オマケに配給は悪名高すぎるアルバトロス・コア、どう考えてもマトモなシロモノではないな。w
そんな2000年代のアングラな作品もこうしてレンタルDVDが出て、移り変わりが激しいご近所のレンタルショップの片隅で生き残ってこうして鑑賞してレビュー出来たのだから、世の中何が起こるか分からないものだ。

何はともあれ、「テリファー2」を乗り越えた俺に相応しい相手だ。w
相手にとって不足はない!!!かかってこいやー!!!





…なんだ、これは!?



エロとグロとアンモラルを詰め込んだ、「?」が右脳と左脳全てを駆け巡る、理解不能でカオスと異常さが満載!!!

予想以上に、トンデモなシロモノだった!!!


そもそも今作、オムニバス形式ではありますが、どの回にもストーリーらしいストーリーは存在しません。
哲学的なアレコレをこねくり回し禅問答しながら、ひたすらに性とグロと電波が入り混じった映像が繰り返され続ける「考えるな、感じろ!」と言わんばかりの映像が連続する内容になっているのだ。

恐らく「左脳が壊れたら人間はこんだけヤベェ~事を考えられるよ!という事を映像表現として描きたいんだろうなぁ!!」というのがひしひしと伝わってくる。

それだけあって、本作はエロとグロと不謹慎な映像のオンパレード!!!

自慰行為や性行為は日常茶飯事、男女問わず泥や血に塗れ、虫が湧くわ、臓物が出るわ、胎児でとんでもない事をするわで、汚くて不道徳な行為やグロゴアが沢山展開。
何故か切り裂いた下腹部の中から目玉が出てきたり、地球とセックスしたら地面や木の枝から血が出たり、臓物を股間になすりつけ自慰行為したりと、今の僕には、ってか今後も理解できそうにないカオスなグロ描写の嵐。

エロ描写に関しても、男性も女性も脱ぎまくりな上に、上記のカオスグロも相まって興奮どころの騒ぎではないドン引きの嵐。w
女性の裸体は勿論、女性の下半身もボカシ無しで描かれてる!!!
(流石にアダルトビデオの映像や自慰行為、男性器グチャグチャなシーンとかはモザイク入ってたが。)
血だけでなくやたらと謎の白い液体(意味深)が野郎の手とかに着きまくるので、汚い事この上ない。
ティッシュで拭けや!!!そしてハンドソープで入念に手を洗え!!!w


…って事で、グロとエロと不謹慎と電波(そして中原茂さんのねっとりボイスw)が詰まった、正にカルトムービーという言葉がふさわしい本作。

そんな兎に角ヤバい映画ではありますが、監督が撮影監督畑の人だからか意外にも映像的にはしっかり決まってるし、グロ描写も良く出来た特殊メイクでしっかり生々しく描いており、以外にも映像方面は見ごたえがあった。
(BGMも妙に良い感じのモノが揃ってるし、スパッと音楽を切って意識を切り替えるのも悪くない。)
理解しがたい内容ではあるが「人間の潜在意識の中にある残虐性」という一点に関してはブレることなく描いており(多分)、割とそういうグロテスクなアート系映画と認識して見れました。

…うん、こんな映画を普通に楽しんで見ちゃった辺り、俺もかなりイカレてしまったのかもしれないw
グロゲロなスプラッター映画にハマるのも考え物か、と思ったが、もう遅いか。w


ハッキリ言って一般層からみたら意☆味☆不☆明でエログロなだけの駄作だと思う。寧ろそう思った方が正しいw


しかし、何と言うか、理屈では語れないが、

俺はよう分からんけど好きな映画だった。(えゑ!!???)

全く持ってオススメは出来ないが、まぁ短き人生、映画にハマったからにはこういう珍作に手を出してみるのもアリなんじゃないでしょうかって事で興味がある人は是非どうぞ。

取り合えず、変な映画やイカレた映画をご所望な人なら確実にその期待に応えてくれると思います。w


因みに特典映像では予告編の他にメイキングが収録されており、監督やスタッフの皆さんが制作秘話を楽しく語ってくれます。
特殊メイクや特殊効果(写真の溶けるシーンや虫を使った撮影方法が興味深い)、映画祭に出品した際の話等が聞けるので本編と合わせてどうぞ。

…釣り餌用とは言え、ミミズ虐待(!?)をノリノリで語れる、制作陣の”潜在意識の残虐さ”も相当なモノですな。(ちゃんちゃん♪)