カツマ

GODZILLA ゴジラのカツマのレビュー・感想・評価

GODZILLA ゴジラ(2014年製作の映画)
3.6
暗黒の中を黒光りするそのボディ、閃光のような炎を放つ、怪獣の王にして破壊神ゴジラがハリウッドに再び降誕!その後の『キングコング』ともリンクする、モンスターバースユニバースの一作目として世に産み落とされた、新たなゴジラ映画である。パニックスリラー要素を全面に押し出し、成すすべもなく破壊尽くされる人間の小ささが下方からの視点で主に描かれた作品だ。ゴジラにカラータイマー付いてるの?と言わんばかりに、ゴジラを出し惜しむゴジラ映画であった(笑)

監督は『モンスターズ』を撮りモンスター映画へのオタク度数の高さを炸裂させたギャレス・エドワーズだが、彼は『ローグ・ワン』の監督としての方が今は有名かもしれない。特撮感は薄いため、基本的に視点が低い。だが、ゴジラのフォルムはかなりカッコよく、『ゴジラ』が登場するパニックムービーとして大いに楽しめる作品。続編の『キング・オブ・モンスターズ』へ果たしてどのように繋がっていくのだろうか・・!

〜あらすじ〜

1999年、芹沢博士らはある調査のためフィリピンへと降り立っていた。彼らの目的は炭鉱の掘削作業によって目覚めた何かを確認するためだったが、その何かはすでにフィリピンの海から何処かへと歩き去っていた。
そして、その後日、日本の雀路羅市の原子力発電所では正体不明の微振動を感じ取っていた。そこで勤務する核物理学者のジョーは妻のサンドラと共に異変の解明に向かうが、地震によって発電所は倒壊し、逃げ遅れたサンドラは帰らぬ人となってしまう。
それから15年後。ジョーの息子フォードは爆弾処理班として軍の任務から帰還し、妻と息子の待つカリフォルニアの自宅へと帰ってきた。そこへ日本からの電話が入る。父親のジョーがかつて原子力発電所のあった立ち入り禁止エリアに侵入し、逮捕されたというのだ。フォードはすぐに日本へと飛び、父親と会うも、ジョーは未だに15年前の事件に心を縛られていた。フォードはそこで事件の真相を解明したいジョーと共に禁止エリアへと侵入。そこで眠っている巨大な何かを目撃することになり・・。

〜見どころと感想〜

この映画の中のゴジラは『シンゴジラ』のそれとは大きく異なり、破壊神というよりかはウルトラマンである。敵の二体の怪獣ムートーを倒すため、遥々海を渡りアメリカ大陸に上陸し、しかも地味に人々を避けたりしながら、怪獣の顔面にファイヤーブレスを吹き付ける!つまり、この映画ではゴジラは完全にヒーローであり、遅れて来る主人公でもあった。それだけにゴジラvsムートーの迫力満点のバトルシーンが暗すぎてほとんど見えない、というのはだいぶ残念。漆黒のゴジラのボディが擬態しており、炎をはいてくれた時の安心感は半端なかった(笑)

ゴジラを演じているのはモーションキャプチャーの代名詞アンディ・サーキスなので、ゴジラのアクションに関しては文句なし。渡辺謙が『ゴジラ』を呼ぶときだけ『ガッジィーラ』ではなく日本語で『ゴジラ』とはっきり発音してくれるあたりに、製作陣と監督のこだわりを感じた。
親子愛を軸にしたストーリーは比較的統一感はあるため、ゴジラを冠した駄作映画にはなっていないと思います。続く『キングオブモンスターズ』ではバトルシーンの暗さ、という点を突き破ってもらいたいですね。

〜あとがき〜

続編公開に合わせて鑑賞しましたが、思いのほか楽しめました。
ただ、ゴジラの出し惜しみが酷くて、前半はほぼムートーしか出てこないのでゴジラはまだ?という時間帯は長かったです(笑)今作のゴジラは真打ちの役割。まだまだその強さの一端しか見せていないので、キングギドラらとのバトルで本気を出すであろうゴジラの真の強さを早く見てみたいなぁと思いますね。
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