松原慶太

墨東綺譚の松原慶太のレビュー・感想・評価

墨東綺譚(1992年製作の映画)
3.4
原作未読。永井荷風は、低徊趣味をもつ趣味人という認識しかなかったが、大人になって見るとなかなか沁みるものがあった。

「濹東綺譚」「断腸亭日乗」あたりを原作にして、戦局へとひた走る戦前の時流に背を向け、銀座や浅草をぶらつき、芸者や私娼に溺れていった遊び人の姿を描く。

現在の感覚からすると、不道徳きわまりないが、時局に関せず、家族親戚にも不義理を欠きつつ、ひたすらに女の肌を貪っていた永井荷風。原作を読みたくなった。
松原慶太

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