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ジュラシック・ワールドのPizzaFatのレビュー・感想・評価

ジュラシック・ワールド(2015年製作の映画)
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huluで2まで見てから鑑賞。初代ジュラシックパーク同様、2015年の観客をハラハラさせる超大作パニックムービーであった。最新のCG、3D、音響すべてがハイレベルでところどころビクついてしまった。素直にハラハラ見ていればとても楽しいが、いまいち納得がいかない部分もあり、ジャンルムービー以外の見方はないと思う。

劇場で見たこともあり音響が特に印象に残った。本作ではインドミナス・レックス のような巨大竜が近づくたびに振動が伝わるほどの轟音で息遣いが表現されていた。恐竜の巨大さ、恐ろしさを表現するのにこの音響が最も大きな仕事をしていたと思う。
パシフィック・リムでも全く同じことを感じた気がする。
この手の映画は、常に過去の作品を超えるべく表現が常に洗練されていくのだから、リアルタイムで見れてとても良かったと思う。

しかし、脚本は、これまでのシリーズにもましてイマイチだった。
インドミナス・レックスの脱走を受けて早々に非常事態宣言をした主人公は、呑気にはぐれた二人の子供の救出に向かい、船以外の脱出手段のない数万人の来場客はなぜか大方脱出に成功し、最大の戦犯とも言えるクレアおばさんはラストシーンでなんとなく免罪される。
また、パークの地勢がわかりづらく殆どの恐竜が神出鬼没でスプラッター映画の殺人鬼のようだった。次に何が起こるか観客に考えさせることを困難にするのであれば、観客はじわじわ忍び寄ってくるような恐怖感を感じることはない。画面上の巧みな映像と音響に受動的に驚き反応するしかできないだろう。
それは全年齢で夏休みに見れる映画として必然である。ジュラシックシリーズでは、人が死ぬことは、半分ギャグみたいなものである。主人公サイドの素性の知れた人間は死なず、悪そう奴はバンバン死んでいく。あんまり心が痛むような死に方があると全年齢では楽しめなくなってしまう。とはいえ、上で挙げたような粗さはもう少しなんとかしてもらいたかったという気持ちがやっぱり強い。少なくともパークの地勢がはっきりして、インドミナス・レックスがどう移動しているかがわかれば能動的にのめり込めたと思う。
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