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バケモノの子のPizzaFatのレビュー・感想・評価

バケモノの子(2015年製作の映画)
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細田守監督の前作「おおかみこどもの雨と雪」の感動に期待して見に行ったが、本作はちょっと楽しめなかった。演出はやっぱり凄いし、ビジュアルも魅力的だが、脚本が悪くかつテーマがぼんやりした詰め込みすぎな映画だったためだ。

本作には様々なテーマが織り込まれた。大きいものから並べれば、師弟関係、擬似家族、自身の闇との闘い、差別と時代性とはあまり関係ない普遍的なテーマがあるが、それらが一本に絡まることなく、別要素の集合体にしかなっていないと感じた。
師弟関係と擬似家族は、熊鉄と九太の関係を通して十分に描かれていたと思うが、自身の闇との闘い(具体的に言えば、一郎彦が絡む一切のエピソード)がバランスを崩してしまっている。さらにこのテーマがラストバトルのテーマになってしまっており、一番大きな師弟関係、擬似家族というテーマを画面上食ってしまっている。熊鉄と猪王山の闘技場での闘いは派手さも有りラストシーンにするのにも申し分なかったただけに残念である。
セリフもとても気になった。登場人物たちが今の気持ちを全てセリフでしゃべるのは、全年齢向けの映画ということを抜きにしても、映画として大変にかっこ悪い。
とは言え、熊鉄と猪王山の闘いなどバトルシーンは怪物の重たさを感じるハイレベルなものだったし、見てよかった部分も多分にある。でもやっぱり金曜ロードショーで見れば十分かもしれない。
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