こたつむり

徳川セックス禁止令 色情大名のこたつむりのレビュー・感想・評価

4.0
♪ 出しても 出しても タマっちまうのさ
  そして満足できずに 狂ったアソコは
  まるでカミソリの刃の様にギラギラ

いやぁ。タイトルでドン引きですよね。
でも、違うんです。聞いてください。脚本家の桂千穂さんが「面白い」と書いていたから観ただけなんです。僕に“この手の趣味”はない…わけではないんですけれども。

でも、本当に面白かったのです。
石井輝男監督と違って鈴木則文監督は“猟奇”を前面に押し出してこないので(多少は血が流れますけど)ポップなエロコメとして楽しめちゃうのです。

効果音だって可愛いんですよ。
「ここからは笑うところ」となればポフポフとコミカルに変化するのです。もうね。その時点で口角が上がっていますからね。その後にバカバカしい下りが続けば…声が出ちゃうのも当然の話。

あと、何気なく社会派の側面もありました。
思うに、性表現の規制を揶揄しているのでしょう。確かに創作物の表現は行き過ぎでもダメですが、雁字搦めも良くない話。まさに生かさず殺さず。それが大切なのです。

それに少子化が叫ばれる昨今。
最も必要なのは本作のように突き抜けたエロチシズムであり、子作りを全面的に肯定することだと思うのですよ(勿論、それをフォローするシステムも大切です)。

ぶっちゃけた話ね。
お年寄りよりも若者が希少な時代ですから、老人優遇政策は避けるべきだし、真の賢者ならば率先的に声を上げるべき。一線を退かずにシステムを硬直させるだけならば「老害」と言われても仕方がないでしょう。

おお。なんだか真面目な話になりましたね。
でも、仕方がないですよ。本作はとても真面目な作品ですから。うん。女体が裸になってムフフ…だけの映画じゃないのです。本当です。信じてください。

まあ、そんなわけで。
嫉妬に狂った殿さまが情交を禁止するコメディ。バカバカしいけど目を三角にせずに受け止める…今の時代に足りていない鷹揚さで臨むことをオススメします。

最後に余談として。
山城新伍さんが脇役なのですが存在感が格別でした。本当に良い役者さんですね。
こたつむり

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