茶一郎

インサイド・ヘッドの茶一郎のレビュー・感想・評価

インサイド・ヘッド(2015年製作の映画)
4.5
『カナシミという感情は何故、あるのか』


 ピクサーアニメーションスタジオ最新作。子供の頃から、ほぼ全作リアルタイムで追ってきた身としては、現段階ピクサー最高傑作だと思いました。(もちろん、トイストーリーサーガはクラシックとして除外してですが)


 ピクサーのレビューで毎回書く事、観て毎回、思うことは、アニメの語源アニマです。

『アニマ:生命のない動かないものに命を与えて動かすこと』

どのアニメ作家がこれに挑戦する以上に、ピクサーは技術革新とともにアニマに挑戦するスタジオだと思いました。
そして、今作はこのアニマに対する一つのゴールだと思います。


 今作。
人間の感情をアニメーションにして、子供大人も楽しめる、分かりやすい、エンターティメントとして、ストーリーテリングとして、『面白く』描き、かつアニメ表現として技術革新をする。そして、ストーリーテリングの中で描かれるのは、悲しみという感情の必要性について。

こんな途方もくれるような何重解の方程式に挑戦して、成功しているピクサーが怖いです。原案の段階で、もうそれは怖いです。
感情や人間関係は生命がないものの、目まぐるしく動く、それに生命を与えようとする挑戦が今作だったのだと。

 
 分かりやすいシステムの素晴らしさは言うまでもない。思い出ボールや性格の島、普通、こんなに分かりやすく描けない…
考えの列車、事実が立体から2次元になる際のアニメ表現好き。

キャラクターの質感、点(作り手達は微粒子と表現)が集まってできているボヤ〜とした体。もアニメ表現として到達点の一つ。今作の初期トレーラー(ピクサーアニメの歴史を追うもの)で技術革新を味わいたいです。

 
 良い所を言うとキリがないのですが、今作のテーマでもある、悲しみの正しさを描いていることが一番、好感が持てました。悲しい時は悲しんでもいい。間違っていない。と

一つの物事には色々な感情があり、そしてどんな感情でも大切な思い出になりうる。と、とても優しく包まれました。
 
茶一郎

茶一郎