なべ

007 スペクターのなべのレビュー・感想・評価

007 スペクター(2015年製作の映画)
3.3
 ガンバレルのアイキャッチがエンディングからオープニングへ。旧来の007シリーズと同じになった。
 旧シリーズの007はロシアより愛を込めてとゴールドフィンガーしか持ってないが、ダニエル・クレイグの007は全話スチールブックで揃えるくらい気に入っている。が、スペクターは今回のリブート007のおさらいで、初回鑑賞時より唯一値を下げた作品だ。

 オープニングの死者の日シークエンス。ガイコツだらけの黄色に染まったメキシコシティが異国情緒たっぷり。ファーストカットのデカいガイコツが目に焼きついてる。ここでもボンドの破壊っぷりは凄まじい。破壊王の名に恥じない壊しっぷり。群衆の頭上で繰り広げられるヘリの死闘もヤバい!(そりゃMに怒られるわ)。敵から奪い取ったリングのタコの刻印のクローズアップからテーマ曲に移る流れが美しい。
当時はダニエル・クレイグボンドの最終作といわれていたので、サムスミスの主題歌では死者たちが現れては消えるおさらい亡霊仕様。ル・シッフルや旧Mが登場すると思わず鳥肌が立つな。
 その後のモニカ・ベルッチの背中にはちょっとがっかりしたけど、未亡人な妖しさはさすが。続く大会議の粛然とした空気感!緊張するー!
 だがいいのはここまで。一応歴代の007との比較では及第点だが、新シリーズの中では一番もの足りない。雰囲気はあるんだけどね。
 ブロフェルドの、「今まで君が戦ってきた敵は全員俺さまの部下たちだ!」と上から目線の発言にはちょっと引いたわ。それ、逆に恥ずかしくね? 部下全員、ボンド1人に殺られたってことでしょ。ボンド憎しで悪の道をひた走ってきたのに、結局ボンドには敵わないというね。
 だいたいボンドへの妬み嫉みが起源って、ちっさ!悪の首領にしてはちっさ過ぎる。これじゃル・シッフルもグリーンも浮かばれない。だいたいシルヴァは違うでしょ。奴のはスペクター関係ないやん。シルヴァの私怨までも自分の仕込みかよ。図々しい。
 スカイフォールで2匹のネズミ(スパイ)の明暗を描いたサム・メンデスは、スペクターでは兄弟の明暗を描いたわけだが、それって構図がおんなじじゃんね。
ブロフェルドはコンプレックスをモチベーションにするんじゃなくて、純然たる悪じゃなきゃ。てかエピソード中で正体がわかって捕まるまでやっちゃう? せっかくのレガシーをそんなに安易に消費しちゃう? もったいない。
 はっ!もしかしてこのブロフェルドは影武者? それならこの器の小ささも納得だ!
ここで終わりは嫌なので、ノータイム・トゥ・ダイでダニエルが続投すると聞いてホッとしたよ。めっちゃ楽しみにしてるからな!
なべ

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