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思い出のマーニーの群青のレビュー・感想・評価

思い出のマーニー(2014年製作の映画)
3.0
今までのジブリとは一味違うジーンとくるような話だった。

この監督の前作、アリエッティでは消化不良が大きかったが、今作はきっちりしていて久しぶりにあぁ良い作品見たなぁという感じ。

まずちょいミステリー気味な雰囲気が良かった。マーニーって誰?というところを最後まで引っ張って最後にああそうなんだな。杏奈良かったなあって、なってるところ。起承転結が良かったということかな。

あとは杏奈っていうキャラ。お世辞にも褒められた性格ではないのだけれども、思春期や養母について知ってしまった真実とかがあって、人間臭い。こういうのを嫌いっていう人はおそらく同族嫌悪によるところが大きいと思う。こういう時は大なり小なり訪れると思うし。
そしてこの杏奈のキャラのおかげで作品がぐっと引き締まっていると思う。

自分が嫌いな自分というのは自信がなかったり、他人が自分のことを嫌いになるかもしれないことの不安だったり、何より自分がいなくてもこの世界は回るんじゃないかなという恐怖だと思う。
じゃあどうやってそれを解決するかというと、これはあらゆる人間関係を修復する方法にもなるのだけど、いるだけで、いてもらうだけで、あなたという存在があることが何よりもあなたがここにいて良い証拠となるということだと思う。
まあ端的に言うと愛ってことなんだけど、それをマーニーから教えてもらう。マーニーがやたら大好きとか愛してるとか、百合っぽいことを言うけれどもネタバレを知ると、ごく自然で真っ当なセリフだったりする。そして同時に自分には想像できないくらいに養母が杏奈に愛を注いでいたということが分かる。この、序盤のマーニーや養母の立ち位置がラストで逆転する構図が良かった。
あとは絵を描いているおばさんや引越し先のおじさんやおばさん、そして何かと関わってくる屋敷の女の子など外的要因ももちろんあるだろう。あの友達良い友達だよなぁー

なんにしても良い作品でした。と思ったらこの監督、ジブリやめちゃってる。もうジブリって見れないのかなぁ。
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