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ベイマックスの群青のレビュー・感想・評価

ベイマックス(2014年製作の映画)
3.4
マーベルが原作のヒーローもの。

本国アメリカと日本でプロモーションやタイトルが違ってて大丈夫かなぁ〜とか思ってたけど、実際観てみればメッセージが明確なんでホッとした。これなら、本来の相手である小学生の子供でもちゃんと観れば兄弟愛でありながらヒーローものでもあるという事が分かるだろう。

それはなぜかというと自然なストーリー運び。
ヒロはタダシのおかげで大いなる目的のために動く大学に興味を持つ。しかしタダシを亡くして生きる意味を失ってしまう。そんな中タダシの作ったケアロボット、ベイマックスと触れ合い兄が自分の中に生きている事に気づく。そして、形は違えどやはり大いなる目的のためにヒロは仲間と共に動き始める、というラスト。ずっと主張が一貫しててなおかつ着地はヒーローもののオリジン(誕生譚)を描いてる。すげえ!

ヒーローものの部分ではTwitterとかにも当時流れていたがグレンラガン的。タダシの残したメッセージがクる。
人の助けになりたいという信念のもと、ベイマックス製作に四苦八苦する。それまでは復讐、さらにそれ以前では特にしたい事もなかったヒロがタダシの想いを受け継ぐ感動的なシーンだ。ここがグレンラガン的に言うと兄貴はもう死んだ!の部分なんだろう。

ヴィラン(マーベル原作なのであえて笑)もタダシがいなかったヒロのような存在で構図が上手い。私利私欲で動く者と人の為に動く者の違いだね。
ただ、ヒロがアレを作らなかったら話は始まったのかな…って思うのは野暮か笑

個性豊かな仲間たちも魅力的だったがここはちょっと駆け足気味だったかも。もう少し仲間たちがヒロと一緒になる理由が欲しかったかなぁ。描いていないわけではないのだが描き足りないためにご都合主義っぽくみえた。

しかし、ベイマックスの可愛さがそれを軽く凌駕しているので違和感がない。タダシの目論見通り、思わず抱きしめたくなるキャラクターとして完璧だ。ポフポフな体、ヨチヨチ歩き、ちょっとずれたテンポで笑いを取るところなど魅力は、たっぷり。正直、欲しい笑

アクションはヒーローものなので流石。ベイマックスver2の飛行はアイアンマンの初飛行テストと同じ感動で躍動感が凄まじい。サンフランソーキョーの夕陽と海の青さの絶妙なコントラスト。すんげえ気持ちいい。あそこもグレンラガンでいう、初めてシモンとカミナが地上に出た時の景色とダブる。ってかスタッフ、グレンラガン観ただろ笑


あとは個人的には日本のプロモーション通り愛推しでも良かったんじゃないかなと、思う。ここは完全に個人的解釈だが。


それは育ての親である叔母の存在だ。
ヒロとタダシは両親がいない。
だからタダシはともかくヒロは普通に考えたら愛に飢え、ちょっと曲がった性格になる可能性が高い(序盤はそれっぽいし)
しかし彼女のおかげですくすくと成長した。彼女が出てくるシーンは少ないが、彼女がいなければヒロもタダシも素晴らしい人間には成長しなかった。

彼女は冒頭のシーンで言っている通り、二人を育てる時に何か参考にしたわけではなく試行錯誤しながら育てていて、親である自信は全くなさそうだった。しかし無意識か意識的には分からないが、彼女が二人を育てる時にことあるごとに必ずやってきたことがあり、それが二人をあんなに素晴らしい人間にしたのだと思う。


彼女が2人を引き取りにきた時、まずどうしたか。
ヒロが試験に合格した時どうしたか。
タダシが死んだ後、大学に行くと言ったヒロに何をしたか。
沈んでいたヒロにベイマックスは何をしたか。
そもそもベイマックスがどんなコンセプトで作られたか。
ラスト、それまで叔母がしていたことを今度はヒロからやったのはなんなのか。



それは、抱きしめるということだ。


繰り返し描写されるそれに、人間が成長するために最も必要な気持ちとその行動が分かったような気がする。


そんな解釈でなくてもヒーローものとしてはすごく良い。是非2が観たい。
2はやはりヒーローとしてやっていけるかという葛藤と仲間割れとか、仲間同士の恋愛とか色々広げられるじゃん!観たい〜
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