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ゴーン・ガールのろのレビュー・感想・評価

ゴーン・ガール(2014年製作の映画)
5.0

「結婚の弱点を試してみたい?」

結婚5年目の記念日に妻が消えた。
ガラスのテーブルは粉々に砕け、キッチンから多量のルミノールが検出されたことから、警察は事件とみて捜査を始める。

妻エイミーの失踪は大々的に報じられ、市民による捜索隊が結成。
しかし、夫ニックはこの事件にあまり関心を示さない。
その態度から徐々に疑いの目が向けられていく。

「欠点の多い現実のエイミーが‘理想のエイミー’に嫉妬する」
エイミーの母は児童文学「完璧なエイミー」の著者として知られていた。
本の中のエイミーはチェロの天才だけど、私は違う。
本の中のエイミーはバレーボールの代表選手だったけれど、私は違う。
母親が描いた理想のエイミーは何をさせても完璧で、現実のエイミーはいつも比べられてきた。だけど、唯一完璧に成し遂げられそうなのが今回の計画だった。

「みんなに何度も言われた。結婚は困難な仕事だと。一切の希望を捨てるんだって。だけど私と彼の場合は違う」
そう思っていたはずなのに、夫は妻の交友関係も血液型も知らない。
彼女に興味がないのだから、「無事に戻ってくることを願っている」なんてとても言えない。
タッパーに入った作り置きのおかずには目もくれず、アイスクリームに手を伸ばす。
夫が愛したのはエイミーが演じていた‘(都合の)いい女’だったけれど、妻もまた彼を‘理想の男’の型に当てはめていた。

自分がいなくなることで彼を支配する。
夫の社会的地位を再び向上させることで、彼の未来になくてはならないパズルのピースになれる。
私に対して抱く疎ましさや恐れでもいいから、彼の頭の中が私でいっぱいになればいい。

「君を愛したけれど、憎み合い支配し合おうとして、互いを苦しめた」
「それが結婚よ」

ぐちゃぐちゃに絡まって糸端さえ分からなくなった毛糸のような愛を、解こうとするどころか編み続ける。
容赦なく他人の人生を奪う彼女の覚悟と開き直りがあまりにも清々しくて、ちょっとやみつきになりそうです。



( ..)φ

あれ?キャサリン・ターナー・・・?シリアル・ママ・・・?って笑いを噛みこらえて、こらえきれなくて吹き出したり、ベンアフさんがだんだん英二さん(黒い十人の女)に見えてきてこれまた可笑しくて笑っちゃったり。とにかく面白かった・・・!
私が想像する結婚生活のウソとホントがここに詰まっていて、同じ感覚じゃん・・・!と鳥肌が立つほど嬉しかったです。
エイミーがいなくなって救われたはずなのに、’FIND AMY’と印字された大きめの缶バッジを胸元に付けてテレビカメラの前に立つ、ニックの死に過ぎた目が最高でした。
ろ